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かしこい不動産の増やし方と借り入れのポイント
不動産投資は、融資によって物件を取得し、そこから得られる家賃収入から返済を行いながら、手元にお金を残すという流れになります。そのお金を原資として、また次の融資を受けて新たな物件を購入する。このサイクルを繰り返すことで、さらに多くの収益を上げていくというものです。しかし、ただ物件を増やすだけではなく、適切な借り入れや法人化を視野に入れることで、効率よく資産を拡大することが可能になります。
本記事では、かしこい不動産の増やし方と借り入れのポイントについて解説します。
かしこい不動産の増やし方
不動産を増やす際に重要なのは、無理なく長期的な視点で資産を拡大することです。短期間で一気に物件を増やすと、ローンの返済に追われて資金繰りが悪化する可能性があります。そのため、これらの手順に従うことで、リスクを抑えながら計画的に不動産を増やしましょう。
①目標・予算を立てる
まず、不動産投資での具体的な目標を設定し、どれくらいの予算で始めるかを決めましょう。知識や経験がない場合でも、不動産投資会社や税理士などの専門家に相談することで、適切な計画を立てることができます。
②最初の物件を購入
計画が整ったら、最初の物件を購入します。特に最初の購入は、専門家のアドバイスを聞きながら、物件の収益性や立地、将来的な価値の伸びを考慮して選びます。
③リノベーションで物件価値を高める
購入した物件にリノベーションを行い、物件の価値を向上させます。賃料を引き上げることで、収益性を改善し、次の投資のための資金を効率的に確保できます。
④2軒目の物件を購入
最初の物件で得た収益やローン返済の実績をもとに、2軒目の物件を購入します。収入が増えることで、次の物件取得への道が開けます。
⑤ローンを減らす
複数の物件を持つとローン返済が大きな負担になることがあります。そのため、繰り上げ返済を行うなどして優先的にローンを減らしていくことで、キャッシュフローを改善し、次の投資に備えます。
⑥3軒目の購入へ
2軒目の物件の収益が安定し、ローンも減らせたら、3軒目の購入を検討します。順調に進めば、ここからさらに物件を増やしていくことが可能です。
このように、ステップごとに進めることで、リスクを抑えつつ不動産を増やすことができます。
絶対破綻しない借り入れのポイント
不動産投資を成功させるためには、適切な借り入れを行うことが不可欠です。無計画な借り入れは、返済不能に陥るリスクを高めるため、借り入れ総資産比率と融資返済比率の2つを理解しておきましょう。
1. 借り入れ総資産比率(LTV: Loan to Value)
不動産投資において、借り入れ総資産比率は「LTV(Loan to Value)」と呼ばれ、不動産の投資判断基準の指標のひとつとなっています。LTVは、所有物件の資産価値に対する借入金の割合を示す指標です。
LTV(%) = 借入額 ÷ 物件価格 × 100
例えば、3,000万円の物件を購入するために2,400万円の融資を受けたと仮定します。その場合のLTVは
2,400万÷3,000万×100=80(%)
LTVが高すぎると、物件の価値が下がった際に債務超過に陥るリスクが高まります。そのため、一般的には、LTVを70%~80%以下にすることが安全とされています。つまり、総資産に対して借入額が7割を超えないように管理することが推奨されます。
しかし、LTVの値が低ければ低いほど良いかというと、不動産投資の魅力であるレバレッジ効果、つまり「てこの原理」のように、少ない元手で大きな資産を動かすという魅力が薄れてしまいます。
例えば、多くのビルを所有している森ビルの場合、借り入れ8割、自己資金2割と言われています。積極的に資金の借り入れを行いながら、新しい物件で高い利益を上げつつ、返済を行うことによって、安定した経営を行っているケースといえます。
2. 融資返済比率
融資返済比率は、年間の返済額が年間の家賃収入に占める割合を示す指標です。この比率が高いと、収入に対する返済負担が大きくなり、キャッシュフローに余裕がなくなるため、将来的なリスクが高まります。目安として、融資返済比率は50%以下に抑えると、安定したキャッシュフローを確保しやすくなります。
返済比率(%) = 不動産投資ローン年間返済額 ÷ 満室時年間家賃収入額 × 100
ここでは簡易的に月間で計算してみましょう。仮に2,000万円の融資を受けたとします。借入利率3%、返済期間35年とすると、毎月の元利均等返済額は約76,970円となります。月々の家賃収入が15万円の場合、返済率は次のようになります。
76,970÷150,000×100≒51.3(%)
実際に賃貸経営を行う場合には、家賃の2割程度が維持費に必要だといわれています。50%以下に抑えることで、不慮の事態にも対応しつつ、資金を蓄えることができます。
上記2つの指標を意識して借り入れを管理することで、破綻のリスクを抑えることができるでしょう。ただし、正確な計算を行うためには、専門家のアドバイスが不可欠です。専門家と相談しながら進めていきましょう。
賃貸収入が増えたら法人化を検討しよう
所有物件を増やしていくことを考えるなら、法人化については必ず検討しておかなければなりません。法人化、すなわち会社を作ることは、以下の2つの面で、大きなメリットがあります。
節税効果
法人税率は個人の所得税率に比べて低いため、賃貸収入が高額になる場合は節税効果が期待できます。
融資が受けやすくなる
法人として不動産投資を行うことで、金融機関からの信用力が高まり、融資条件が有利になる可能性があります。
では、法人化が有効なケースとそうでないケースを具体的に見ていきましょう。
法人化が有効なのはこんな場合
本業の所得が多く、節税効果を狙いたい
本業の所得が900万円を超えると、個人としての所得税率が上がり、税負担が重くなります。法人税は個人の所得税に比べて低いことが多いため、法人化することで節税効果が期待できます。特に年間数千万円以上の収入がある場合、法人化が有効です。また、本業の所得がそこまで多くなくても、賃貸経営が順調な場合も、法人化を検討しましょう。
物件数をさらに増やし、融資を受けやすくしたい
一般的に、法人となって不動産投資や賃貸経営を続けると、社会的な信用が高くなり、金融機関からの信頼も増して、融資条件が有利になります。特に、複数の物件を所有している場合や、さらに資産を拡大していきたい場合には法人化が有効です。
長期的に不動産事業を継続・拡大したい
法人化することで、不動産投資を事業として安定的に拡大しやすくなります。事業規模が大きくなると、税制面や資金調達の面で法人の方が有利になることが多いため、長期的な視野で資産を増やしたい場合には法人化が効果的です。
相続や資産承継を考慮したい
賃貸経営が安定した後に、引退や次代のことを考える人は、法人化を検討しておいた方が良いでしょう。法人化しておくと、資産や事業を後継者に引き継ぎやすくなります。個人名義だと相続税が重くなる可能性がありますが、法人であれば株式の形で財産を引き継ぐことができ、相続税対策としても効果的です。
法人化しない方が良いのはこんな場合
物件数が少なく、賃貸収入があまり多くない
物件数が少ない場合や賃貸収入が低い場合は、法人化するメリットはあまりありません。法人設立や維持には手続きや費用がかかるため、収入が少ない場合はそのコストが税制のメリットを上回ることがあります。
本業の所得が少ない
個人所得が低い場合、所得税率も低くなるため、法人化しても税率の差によるメリットがありません。むしろ、法人の設立費用や維持費が負担となり、個人で不動産投資を続けた方がコスト効率が良いケースがあります。
短期的に物件を売却する予定がある
法人で保有している物件を売却すると、売却益に対して高い税率が適用されます。個人で長期保有物件を売却する場合には税率が軽減される制度があるため、長期的な売却益を狙っている場合には、法人化しない方が有利なことが多いです。
事務処理や経理が煩雑になることを避けたい
法人化すると、決算や税務申告などの事務作業が増え、経理処理も煩雑になります。これにかかる手間や時間が負担になる場合、個人としてのシンプルな形で不動産投資を続けた方が楽に運営できることがあります。
不動産投資における法人化については、以下の記事でも詳しく説明していますので、ぜひ参考にしてください。
不動産オーナーは不動産管理会社を設立して節税しよう
まとめ
不動産をかしこく増やすためには、無理なく安定した収益を確保しつつ、計画的に借り入れを行うことが重要です。本記事では、今後、不動産を増やすことを検討しておられる方に向けて、具体的な増やし方や、破綻を避けるためのポイントについて、あすかタックス&コンサルティングが解説しました。
不動産投資や賃貸経営を続ける上で、賃貸収入が増えた段階で法人化を視野に入れることで、さらなる資産拡大を目指せます。今回紹介したポイントを参考に、リスクを抑えながら不動産投資を成功させましょう。
代表 石井 輝光
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