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実は危ない?不動産クラウドファンディングの思わぬデメリット

カテゴリー: 不動産投資

不動産クラウドファンディングが注目を集めています。これまで「不動産投資」というと、一般的には「まとまった資金が必要」「物件や賃貸経営に関する知識が必要」と考えられてきました。しかし、不動産クラウドファンディングは、1万円程度から始められ、しかも、プロに運用を任せられるということで、クラウドファンディングという手法に抵抗のない若い世代を中心に、不動産投資未経験の人を引き付けています。

しかし、始めやすさや手軽さなどのメリットが強調されることが多い不動産クラウドファンディングですが、本当にリスクはないのでしょうか?手軽さの裏には、意外と知られていない「落とし穴」も存在します。このままメリットだけを見て始めてしまうと、思わぬ損失を被る可能性もないとは言えません。

この記事では、不動産クラウドファンディングの基本的な仕組みから、見落としがちなデメリットまで、初心者にも分かりやすく解説します。

不動産クラウドファンディングとは?

不動産クラウドファンディングとは、インターネットを通じて不特定多数の投資家から資金を集め、その資金をもとに不動産を取得・運用し、得られた家賃収入や売却益を投資家に分配する仕組みです。

これまでの一般的な不動産投資では、物件を丸ごと購入する必要があったため、数百万、数千万円といった多額の自己資金が必要でした。しかし、不動産クラウドファンディングでは、多くの場合、1万円程度の少額から投資に参加することができます。

クラウドファンディング

【不動産クラウドファンディングの仕組み】

  • 不動産クラウドファンディング事業者が、運用する不動産プロジェクトを企画・募集します。
  • 投資家は、プロジェクトの内容(対象不動産、想定利回り、運用期間など)を確認し、賛同すればインターネットを通じて出資します。
  • 集まった資金で、事業者が不動産を取得し、運用を始めます。
  • 運用期間中、得られた家賃収入などから分配金が投資家に支払われます。
  • 運用期間終了後、不動産を売却し、売却益があれば投資家に分配されます。

このように、不動産の選定から運用、売却までを事業者が行うため、投資家自身が物件管理の手間を負う必要がない点が大きな特徴です。初心者にとって参入しやすい投資手法と言えるでしょう。

不動産クラウドファンディングの思わぬデメリット

少額から始められ、プロに運用を任せられるという魅力がある一方で、不動産クラウドファンディングにもいくつかデメリットが存在します。これらのデメリットは、手軽さばかりが強調される情報の中では見落とされがちです。しっかりと理解しておかないと、期待していたリターンが得られなかったり、最悪の場合は元本割れしたりする可能性もあります。

ここでは、特に初心者の方が認識しておくべき「思わぬデメリット」をいくつかご紹介します。

思わぬデメリット

1.途中解約が原則としてできない「流動性の低さ」

株式や投資信託のように、自分の好きなタイミングで売却して現金化することが、不動産クラウドファンディングでは原則としてできません。一度出資すると、ファンドの運用期間が終了するまで資金は拘束されます。

「急にお金が必要になった」「別の投資機会が見つかった」といった場合でも、運用期間中は資金を引き出すことが非常に困難です。募集要項に中途解約の規定がないか、あるいは可能な場合の条件(非常に限定的であったり、手数料が高額であったりします)を事前にしっかりと確認しておく必要があります。

2.事業者の倒産リスク

不動産クラウドファンディングは、プロジェクトを運営する事業者(不動産特定共同事業法の許可を得た業者)が資金を集め、不動産を運用します。もし、この事業者が経営破綻した場合、投資した資金が返ってこなくなるリスクがあります。

多くのファンドでは、投資家からの資金と事業者の固有資産を分別管理していますが、事業者の信用力自体が失われれば、プロジェクトの継続が困難になる可能性があります。そのため、事業者選びは慎重を期すべきで、事業者(企業)のこれまでの実績や財務状況なども、できるかぎり確認しておきましょう。

3.不動産価値の下落による「元本割れリスク」

不動産クラウドファンディングでは、運用期間終了後に不動産を売却し、その売却益も分配金となります。しかし、経済情勢の変化や物件の老朽化などにより、運用開始時よりも不動産の価値が下落する可能性があります。

もし売却価格が購入価格を下回った場合、期待していた売却益が得られないだけでなく、出資した元本の一部が戻ってこない「元本割れ」が発生するリスクがあります。想定利回りはあくまで「想定」であり、確約されたものではないことを理解しておく必要があります。

4.収益の不確実性

想定していた賃料収入が得られなかった場合など、予想利回りと実際のリターンが乖離するリスクがあります。市況の変化や予期せぬ修繕費などにより収益が減少する可能性があり、運用状況によっては予定していた分配金が遅延したり、減額されたりする場合もあります。これも「想定利回り」が確約ではないことの現れです。

5.運用状況の不透明性

投資家は事業者を通じて不動産に投資するため、個別の物件の詳細な運用状況や日々の値動きなどをリアルタイムで把握することは困難です。事業者が定期的にレポートを提出することが一般的ですが、開示される情報には限りがあります。

このように、自分で物件を所有する場合に比べて、運用の過程が見えにくいという点はデメリットと言えます。信頼できる事業者を選び、どのような情報がどれくらいの頻度で開示されるのかを事前に確認しておくことが重要です。

優先劣後方式による「劣後出資者のリスク」

不動産クラウドファンディングでは、投資家と事業者で「優先劣後方式」を採用しているファンドが多くあります。優先劣後方式とは、投資家を「優先出資者」と「劣後出資者」に分けるリスク・リターン構造です。

優先出資者とは主に一般投資家を指し、劣後出資者とはクラウドファンディング事業者を指します。優先劣後方式では、不動産の売却や賃料収入に損失が出た場合、まず事業者の出資分(劣後出資)から損失を補填し、それでも足りない場合に投資家の出資分(優先出資)が減少するという仕組みです。

これにより、一定の範囲内であれば投資家の元本は守られやすくなりますが、損失が劣後出資の範囲を超えた場合、優先出資者である投資家の元本も毀損されます。優先出資だからといって、元本が完全に保証されているわけではない点に注意が必要です。

これらのデメリットを回避するためには?

不動産クラウドファンディングは、手軽に不動産投資を始められる魅力的な選択肢ですが、上記のように見過ごせないデメリットも存在します。これらのリスクを十分に理解せずに投資することは、「実は危ない」状況に繋がる可能性があります。どのような投資にもリスクはつきものですが、重要なのは、そのリスクを正確に把握し、自分にとって許容できる範囲内の投資を行うことです。

もし、「自分の場合はどのような点に注意すべきか」といった疑問や不安を感じた方は、不動産投資や税務に詳しい専門家に相談してください。安全で賢い不動産投資を行うために、専門家のセカンドオピニオンを活用することを強くお勧めします。

特に、投資によって発生する税金(分配金にかかる税金や、将来的に他の投資と組み合わせる場合の税務処理など)は複雑になることがあります。

不動産クラウドファンディングのメリットと向いている人

不動産クラウドファンディングにはメリットもたくさんあります。ここでは、その主なメリットと、どのような人に不動産クラウドファンディングが向いているのかをご紹介します。

不動産クラウドファンディングの主なメリット

メリット

不動産クラウドファンディングには、主に5つのメリットがあります。

1.少額から投資できる

多くのファンドで1万円程度から投資可能なため、多額の自己資金を用意することなく不動産投資の世界に足を踏み入れることができます。

2.運用の手間がかからない

物件の選定、購入、賃貸管理、修繕、売却といった一連のプロセスはすべて事業者が行います。投資家は一度出資すれば、基本的に何もする必要がありません。本業や他の活動で忙しい方でも取り組みやすい投資手法です。

3.比較的高い利回りが期待できるものもある

株式投資のようなハイリターンは期待しにくいですが、上記の優先劣後方式によって、比較的リスクが少なく、預金金利などに比べると魅力的な想定利回りが提示されているファンドが多く存在します。

4.分散投資しやすい

少額から複数のファンドに投資することで、地域や物件の種類(マンション、オフィス、商業施設など)を分散させることが可能です。これにより、特定のリスクに偏るのを避けることができます。

5.短期運用ファンドもある

運用期間が数ヶ月から比較的短い(1年〜3年程度)ファンドもあります。これにより、資金を長期にわたって固定することなく、比較的短いサイクルで投資と回収を行うことが可能です。

不動産クラウドファンディングが向いている人

不動産投資初心者

これらのメリットを踏まえると、不動産クラウドファンディングは「不動産投資に興味があるが、自己資金が少ない人」、「不動産投資の知識がまだ少ない初心者」にとって、まずは少額で体験できる不動産クラウドファンディングは最適な投資手段といえるでしょう。

また、「日中忙しく、不動産管理に時間をかけられない人」も、完全にプロに運用を任せられるため、手間がかかりません。

「少額で複数のファンドに投資し、リスクを分散させたい人」や、「預金よりも高い利回りを期待したいけれど、株式投資のような大きな価格変動は避けたい人」にも向いています。

まとめ

この記事では、不動産クラウドファンディングについて、その基本的な仕組みから、見落としがちなデメリット、そしてメリットや向いている人までを、あすかタックス&コンサルティングが解説しました。

不動産クラウドファンディングは、「少額から」「手軽に」「プロにお任せで」不動産に投資できるという大きな魅力があります。特に不動産投資初心者にとっては、最初のステップとして検討しやすい選択肢と言えるでしょう。

しかし、その手軽さの裏には、途中解約の難しさ、事業者の信用リスク、元本割れの可能性、運用状況の不透明性といった、知っておくべき「思わぬデメリット」が存在します。これらのリスクを十分に理解せず、「利回りが高いから」「簡単そうだから」といった理由だけで投資判断を下すのは非常に危険です。

安全に、そして自分の目標に合った形で不動産投資に取り組むためには、専門家のアドバイスを受けることが非常に有効です。あすかタックス&コンサルティングでは、不動産投資全般に関する税務相談はもちろん、投資におけるリスクの考え方や、お客様にとって最適な投資戦略のサポートを行っております。ぜひ無料相談をご活用ください。

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代表 石井 輝光

貴社の社長にも質の高い国の経営改善・M&Aの認定機関として経営改革、資本性ローン等、地主・大家さんのタックス&コンサルティング、顧問等の支援を通してお伝えします。
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