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PDCAを経営に活かそう!メリット・デメリットもご紹介
PDCAはPDCAサイクルとも呼ばれ、「計画(Plan)」「実行(Do)」「評価(Check)」「改善(Action)」を繰り返し行うビジネスフレームワークです。
忙しい日常の中で、計画を立て実行するところまではできても、振り返って評価したり、改善策を考えたりすることは、つい後回しになっていませんか? 振り返りは現状を把握し次の行動を検討するために不可欠のステップです。PDCAサイクルを高速で回すことで、業務の質は劇的に改善します。本記事はPDCAを基礎から実践までくわしく説明しますので、PDCAがよく分からない方も、実際のビジネスに活用するやり方が知りたいという方も、ぜひ参考にしてください。
PDCAとは?
PDCAは、業務改善のためのフレームワーク(考え方の公式)です。「計画(Plan)」「実行(Do)」「評価(Check)」「改善(Action)」の頭文字を取って「PDCA」といいます。また、下図のように円を描いて進むため「PDCAサイクル」とも呼ばれ、このサイクルを繰り返すことを「PDCAサイクルを回す」ともいわれます。
計画(Plan)
目標を立て、達成できたかどうか客観的に評価できるように、数値目標を設定します。そして目標を達成するための実行計画を作成するプロセスです。
実行(Do)
作成した計画を実行に移します。
評価(Check)
実行した内容が計画通りできたかどうか、数値で評価します。
改善(Action)
評価をふまえてどのように改善を行っていくべきかを検討し、改善策を作成するプロセスです。
計画(Plan)
改善策を盛り込んだ新しい実行計画と目標を設定します。
こうして、P→D→C→Aのサイクルは続いていきます。このPDCAサイクルは、売上増や生産性向上、業務運営上の課題解決など、あらゆる場面で活用可能です。特に、会社を成功に導くための経営者のスキルのひとつとなっています。
PDCAのメリット・デメリット
PDCAのメリットとデメリットを整理しておきましょう。
PDCAのメリット
PDCAのメリットは、次の3点にまとめることができます。
良かった点や改善が必要な点が明確になる
PDCAによって振り返りを仕組み化することで、実行の評価ができます。計画と実行の結果を照らし合わせる作業を通じて、良かった点や改善が必要な点が明確になり、組織全体で共有できます。
継続的な改善活動を習慣化できる
改善策は仮説を立て、実行し、検証してみなければ本当に課題が解決できるかどうかは分かりません。はっきりした結果が出ないことも多いです。そのような場合、仮説をいくつも出し比較検証しながら、より良い手段を取ることが求められます。PDCAを定例会議や日々のミーティングに取り入れることで、継続的な改善活動が習慣化できます。
成功事例を社内に蓄積できる
PDCAを継続して行う中で、うまくいった取り組みが「成功事例」として社内に蓄積されます。他の部署や取り組みで同様の課題が持ち上がっても、成功事例での行動を再現することで、解決できます。
PDCAのデメリット
PDCAにもいくつかのデメリットがあります。実行する上ではそのデメリットを回避しながら実施することが必要です。
遅いPDCAは効果が出にくい
PDCAサイクルは高速で回さなければ、改善の効果も出ません。計画と実行を踏まえて、2~3日のインターバルで評価を行い、課題を共有して改善策を出し、次の計画にその内容を盛り込み、すぐに実行することが必要です。
全員が「改善する」という目的と具体的な目標を共有しなければ、形式的な手続きになってしまう
従業員の側が「会社が決めた目標だ」という意識だと、PDCAも形骸化して効果を出すことはできません。目的や目標を全員が理解し、納得できるコミュニケーションが必要です。
想定外の事態に対処しにくい
PDCAは基本的に目標に対して結果を振り返り、改善を行うというフレームワークです。そのためコロナ・パンデミックやリーマンショックなど予想外の事態に対処しにくい側面があります。想定外の事態に緊急で対処するためには、PDCAではなく、リスクマネジメントに特化したフレームワークを活用します。
経営にPDCAを活かす方法
PDCAを実際に経営に活かすうえで、何をどのように進めていけばいいのか、各プロセスに沿って詳しく見ていきましょう。
計画(Plan)
PDCAサイクルを回すためには計画が重要です。計画が具体的でなければ、現場での実行は進みません。計画は、次の5W1Hを明確にする必要があります。
- Why:何のために行うのか?
- What:何を行うのか?
- When:いつまでに行うのか?
- Who:誰が行うのか?
- How:どうやって行うのか?
経営者にとっては「この計画は何のために行うのか?」を検討することが最も重要です。計画が経営戦略や事業戦略と一致したものであり、明確な必然性を持っているかどうかを判断するのが経営者の役割だからです。
また、「新製品の売上を増やし、利益をアップする」などのようなあいまいな目標ではなく、「新製品の販売目標〇台」「売上前年比何%増」のように、達成可能で全員が共有できるような数値目標を設定します。こうすることで、振り返ったとき適切な評価が可能になります。
また、数値目標は会社の売上や利益に直結するものに設定します。「動画広告経由での問い合わせ件数」は、問い合わせが直接営業に結び付くため数値目標になります。しかし、「SNSで『いいね』を〇件以上獲得する」は、「いいね」の数と売上の間に明確な因果関係がある場合を除いては、数値目標にはなりません。
【例】
目標:顧客単価を年度末までに現状から20%アップ
マーケティングチーム
- 今月末までに、顧客リストの見直しと見込み客リストの更新
- 動画広告経由での問合わせを10%上げるためにランディングページのA/Bテストを行う
営業チーム
- 今月末までに見込み客へ訪問30社 うち7件と商談を行う
- 新製品の契約を3件獲得する
実行(Do)
計画を実行に移すプロセスです。「計画通り実行すればいい」と頭では分かっていても、実際にやってみると難しいことも多いでしょう。特に慣れるまでは、メンバー全員で実行した結果やその結果生じたこと、計画とのズレなどを書き出し、見える化から始めます。
実行のプロセスで経営者が注意したいことは次の2点です。
- 優先順位を考えたうえで、ヒト・モノ・カネを配分する
- 現場の責任者とのコミュニケーションを深め、従業員が計画の実行に意欲的に取り組んでいるかどうかを常に把握する
【例】
中間地点での実行結果
マーケティングチーム
- 見込み客リストの更新完了 営業部と共有
- ランディングページのデザイン1案は完成したが、もう1案が差し戻しの状態。
- 現行のものとあわせて3種類のA/Bテストを〇日から行う
営業チーム
- マーケティングから渡された新規見込み客リストも含めて、見込み客訪問は21社達成
- うち商談まで進んだものは4社
- 現行型番の再契約が2件 新製品の契約は0件
評価(Check)
実行を評価するプロセスです。実行の進捗や成果を評価し、課題を発見します。に費やした努力や投資した「ヒト・モノ・カネ」を最大限に活かすために、適格な評価が必要です。
評価のプロセスで経営者が押さえておきたいのが、次の3点です。
- 「何がどれだけ達成できたか」を数値で把握し、数値を元に評価を行う
- 数値目標自体も実情に合ったものか、的外れになっていないかどうかを評価する
- 実行が計画通りにいかない場合、何が問題なのかを正しく把握する
評価のプロセスで注意したいのが、計画と結果のギャップです。現場から離れたところにいる経営者は、現場の声を聞きながら、同時に「なぜうまくいかなかったか」を俯瞰的に考えることができるポジションです。計画が未達の場合、「誰が悪いのか」という責任の追及や押し付け合いになりがちです。しかし、会社がより良い方向に進むためには、経営者が「なぜそうなったのか」を広い視野でとらえ、業務プロセスや仕組みの問題として検討し改善していかなければなりません。
【例】
中間地点での評価
マーケティングチーム
- 見込み客リストの中には、まだ自社製品をほとんど知らず、関心も薄い見込み客が何件か含まれていた
営業チーム
- 再契約してくれた企業からは、メール営業・電話営業が増えている中、直接訪問したことで自社の熱意が感じられたというコメントが得られた
- 現行型番の完成度が高いので、全体にグレードの上がった新製品と差別化しにくい。新製品を購入してもらうためにはもっとメリットを訴求する必要がある
改善(Action)
評価の次に必要なのが改善のプロセスです。このプロセスがないと次の計画につながりません。改善して次の計画につなげることで、PDCAサイクルを回すことができます。
改善策を考えるのは、簡単なことではありません。改善の段階で経営者が押さえておきたいのが次の3点です。
- 評価で出された課題を「見える化」して共有し、そこから「こうしたら良くなるのでは?」という仮説をできるだけ出し合う
- 仮説の中から実行できそうなものを施策に落とし込む
- 次のPDCAを回しながら、検証する
最初のうちは改善策で効果が上がらなくても、検証を繰り返すうちに仮説の精度も上がります。成功体験を積めば積むほど、次の改善策も出しやすくなるので、最初は成果が出なくても、スピードを上げてPDCAを回すことが重要です。
【例】
月末に向けての改善策
マーケティングチーム
- A/Bテストの候補を用意し、動画を見た人がすぐに問合せできるようなランディングページをA/Bテストで決定する
- 見込み客リスト選択の基準について営業チームと話し合い、必要であれば改善する
営業チーム
- 新製品のメリットが比較検討できる資料の作製を製造・広報に依頼する
- あわせて活用事例も紹介する
PDCAを理解し業務改善に役立てよう
PDCAは、「計画」「実行」「評価」「改善」を繰り返しながら、業務改善を図るためのフレームワークです。特にPDCAは意識せずとも、多くの会社では年度末や期末、月末などに振り返りを行っていることでしょう。しかし、長期間での振り返りでは、日々起こってくる課題に対処できませんし、改善策を試し、検証しながら進むこともできません。期間ごとに立ち止まって振り返るのではなく、進みながら振り返り、改善しながらまた進んでいくのがPDCAの考え方です。
PDCAはフレームワークの中でも最も有名なもののひとつですが、PDCAを導入し、成果を上げているところは多くありません。PDCAをうまく回すのは、意外とむずかしいのです。毎日起こってくる課題に対応し、業務改善のためにPDCAを習慣化するためには、専門家の力を借りるのも良い方法です。
代表 石井 輝光
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