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儲けたい社長のための経営計画書の作り方&テンプレート
経営計画書は会社の今後の進路を示す、経営の軸ともいえるものです。しかし、中小企業の経営者の中には、長年取引を続けてきた得意先と決まった発注量で仕事をしているのだから、わざわざ経営計画書を作る必要などない…と考えている人もいるかもしれません。
変化の激しい現代社会では、突然、取引先がM&Aなどによって別の会社になったり、ニーズが変わって主力製品が売れなくなってしまうことが珍しくありません。また、技術の進化は目覚ましく、新しい技術や製品もすぐに時代遅れになることも増えています。このような中で変化に翻弄されず事業を継続し、社員の暮らしを守っていくためには経営計画書が必要です。
本記事では、たとえ「ぼんくら社長」であっても簡単に作れる経営計画書の作り方を基本からわかりやすく説明します。
経営計画書とは
最初に会社に必要な経営計画書とはどのようなものなのかを整理しておきましょう。
経営計画書とは何か?
経営計画書とは、会社の理念を明示し、その理念を実現するための具体的な施策や財務状況などをまとめた資料です。
例えば、山に登るときは、どの山に登るかを決め、次にルートを定めます。次に、季節や天候など外部環境を考え、メンバーの都合などの内部環境も調整して日程を決めます。さらに、予算を立ててから必要なものをリストアップし、購入計画を立て、何をいつまでに準備するかなどの具体的な計画表を作成します。
経営計画書とは、このように登る山を決めてから具体的な計画表を作成するまでをセットにしたものだと考えると、イメージしやすいでしょう。
経営計画書はなぜ必要か?
経営計画書が必要なのは、主に次の3つの理由からです。
1. 会社経営に一貫性が生まれ、全社員が同じ目標に向かって行動できる
経営理念、つまり「社長は何のために会社を経営するのか」ということを明確にすることで、会社の状況や周りの環境が変わったとしても、ぶれることのない企業活動の軸ができます。
例えば、本田技研工業は「人間尊重(自立・平等・信頼)」と「三つの喜び(買う喜び、売る喜び、創る喜び)」を企業理念に掲げています。また、Amazonは「地球上で最もお客様を大切にする企業になること」としています。
社長がどんな思いで会社を経営しているのか、会社はどんな目的を達成するために事業を行うのかを考え、「理念」として言語化します。理念が経営計画書に書かれ、それに基づいて目標や方針、施策を定めることで、事業の継続性、一貫性が生まれます。また、社員も誇りをもって働くことができます。
2.経営方針が明確になり、理念を達成できる
経営理念を実現するために、社員に対して会社の進む方向を明確にしたものが経営方針です。経営方針が明確になることで、「会社の理念をどのように達成するのか」「そのために何をするのか」を、全社員が共有できます。
3.会社の信用が上がる
経営計画書があることで、銀行などの信用が上がります。銀行に融資を頼む場合には、決算書に経営計画書を添付することが一般的ですが、計画性のある経営計画書であれば格付けも上がります。
経営計画書に必要な5要素
経営計画書には決まった形はありませんが、基本的に以下の5つの要素を盛り込みます。
1. 経営理念・ビジョン
- (ア) 経営理念:企業が何を目指し、何を達成しようとしているかを明確にしたもの
- (イ) 経営ビジョン:会社が将来的に「こうありたい姿」を明確にしたもの
2. 経営目標
- (ア) 外部環境分析:事業を取り巻く政治、経済、社会、技術の4つの要因を分析
- (イ) 内部環境分析:自社の強み、弱み、機会、脅威の4つの要因を分析
- (ウ) 長期目標:自社が5年程度の期間で達成すべき目標
3. 経営方針
- (ア) ヒト:経営目標を達成するために、経営資源のうちの人材についての方針
- (イ) モノ:自社で扱う製品や設備についての方針
- (ウ) カネ:運転資金や設備資金、研究開発資金などについての方針
- (エ) 情報:会社が保有する情報の管理・運用方針
4. 利益計画
- (ア) 目標利益計画:ベースとなる会社全体の数値目標づくり
- (イ) 月別目標利益計画:初年度の月別目標利益計画を作成
5. 主要施策・行動計画
- (ア) 主要施策:目標利益計画を達成するための全体や各部署の施策
- (イ) 行動計画:主要施策を達成するための具体的な行動
上記の要素をコンパクトにまとめ、経営計画書に落とし込みます。
ぼんくら社長のための経営計画書の作り方
「あまり難しいことは考えたくない」「細かい数字はよくわからない」というぼんくら社長のために、できるだけシンプルな経営計画書を5ステップで作る方法を説明します。
1. 経営理念・ビジョンを考える
(ア)経営理念
会社は創業者や社長の夢や、こうありたいという理想があってこそ、動き出します。何のために会社を起こし、何のために事業をしているのかを言葉にしたものが経営理念です。
経営理念は次の2点を軸に考えてください。
- 会社は誰のためにどのようなことをしようとしているのか?
- どんな会社であれば、自社を誇りに思えるのか?
他社の経営理念を参考にするのもインスピレーションを得るための良い方法です。
◆オムロン
われわれの働きで、われわれの生活を向上し、よりよい社会をつくりましょう
◆トヨタ自動車
- 1. 内外の法およびその精神を遵守し、オープンでフェアな企業活動を通じて、国際社会から信頼される企業市民をめざす
- 2. 各国、各地域の文化、慣習を尊重し、地域に根ざした企業活動を通じて、経済・社会の発展に貢献する
- 3. クリーンで安全な商品の提供を使命とし、あらゆる企業活動を通じて、住みよい地球と豊かな社会づくりに取り組む
- 4. 様々な分野での最先端技術の研究と開発に努め、世界中のお客様のご要望にお応えする魅力あふれる商品・サービスを提供する
- 5. 労使相互信頼・責任を基本に、個人の創造力とチームワークの強みを最大限に高める企業風土をつくる
- 6. グローバルで革新的な経営により、社会との調和ある成長をめざす
- 7. 開かれた取引関係を基本に、互いに研究と創造に努め、長期安定的な成長と共存共栄を実現する
◆日本製鉄
- 1. 信用・信頼を大切にするグループであり続けます。
- 2. 社会に役立つ製品・サービスを提供し、お客様とともに発展します。
- 3. 常に世界最高の技術とものづくりの力を追求します。
- 4. 変化を先取りし、自らの変革に努め、さらなる進歩を目指して挑戦します。
- 5. 人を育て活かし、活力溢れるグループを築きます。
◆虎屋
おいしい和菓子を喜んで召し上がって頂く
(イ)ビジョン
経営ビジョンとは、会社が「こうありたい」という姿を言語化したものです。
理念が「自社が進もうとする方向性」を表すのに対し、顧客や社会から見た自社はどんな会社でありたいのかを示すという違いがあります。例えば、ソフトバンクグループの理念とビジョンには、その違いが明確に表れています。
◆ソフトバンクグループ
- 理念:情報革命で人々を幸せに
- ビジョン:世界の人々から最も必要とされる企業グループ
2. 経営目標
経営理念を掲げただけでは、理念を実現することはできません。具体的に動き出すために、目標を定めることが必要です。しかし、やみくもに「これが目標だ」と決めるだけでは、実行には移せません。目標は、外部環境と内部環境を分析し、そこから踏み出すべき次の1歩の方向性を見定めます。
(ア)外部環境分析
外部環境分析は、「政治」「経済」「社会」「技術」の各要素を切り口として、影響がありそうな情報を書き出します。社内のさまざまな部署のメンバーを集め、知識や経験を持ち寄って、「5年以内に影響がありそうなもの」を中心にまとめます。
(イ)内部環境分析
自社の強みと弱みを分析します。
次に、先ほど分析した外部環境を、自社にとって「機会」となるもの、自社にとって「脅威」となるものに分けて、思いつくだけ書き出します。ふせんやホワイトボードを利用して、思い付きを書き出したら、同じようなものをまとめて整理します。最終的に下図のような表にまとめます。
【図表の例】
4つの要因を「機会×強み」「機会×弱み」「脅威×強み」「脅威×弱み」で掛け合わせ、「どうしたら機会をとらえて強みが発揮できるか」「どうしたら脅威の中で自社にとって最悪の事態に陥らないようにできるか」などを考えます。
(ウ)長期目標
分析を踏まえ、自社が5年かけて達成すべき目標を考えます。
3. 経営方針
目標を達成するために会社の経営資源である「ヒト」「モノ」「カネ」「情報」をどのように活用するかを考えます。目標が達成できたかどうかを客観的に評価できる重要目標達成指標(KGI)も合わせて設定します。
(ア) ヒト
基本方針で最初に考えたいのが社員育成です。社長が経営計画を立てても、それを実現する人材がいなければ理想論にすぎません。経営目標を達成するためには、社員1人ひとりの成長が欠かせません。現状の人材に関する課題を洗い出し、その解決策を検討します。
(イ) モノ
現在の製品についての課題を明確にし、今後どのような製品攻勢にしていくのかを検討します。
(ウ) カネ
運転資金の調達や、今後の設備投資をどうするか、今後、研究開発をどのように計画するかなどを検討します。
(エ) 情報
社内にあるさまざまな情報をどのように取り扱うかを検討します。販売情報や原価情報などの数値情報や、顧客情報や人事情報などの定性的情報をいかに管理し、活用するか、また、さまざまにある情報システムをどのように導入し、運用するかについても検討します。
4. 長期損益計算書
損益計算書は、社長だけでなく経営陣、および会社の経理を担当しているコンサルタントと交えて行います。
(ア) 長期損益計算書
売上高の5ヵ年計画を作成します。まず、5年後の社長があるべき売上高を決めます。それから、順次4年、3年、2年、当年を決めます。必要な経常利益をいろいろな角度から検討して決定します。
経常利益の数字が決まったら、損益計算書(P/L)を見ながら、下から上へ逆算していきます。逆算によって利益計画の詳細が自動的に決まります。
次に、今後5ヵ年の数値を決めていきます。
(イ) 月別損益計画書
月別損益計画書は、売上高の季節変動指数をもとに、売上高を12カ月間決めます。次に、売上原価、粗利益、販売費一般管理費を決めます。この月別利益計画表には、月ごとに実績を記入し、PDCAサイクルが計画通りに推移しているかをチェックします。
5. 主要施策・行動計画
(ア)主要施策
経営目標を達成するための主要施策を年度別に検討します。社長と自社の中心となる各部門の責任者で協議します。施策のポイントは次の3点です。
- ① 経営目標達成のために必要な施策であること
- ② 達成できたかどうか、客観的に数値で評価できる施策であること
- ③ 行動計画に落とし込める施策であること
(イ)行動計画
主要施策を実行するための具体的な行動計画を立てます。行動計画には次の3つのことを盛り込みます。
- ① 行動内容を具体的に決める
- ② 責任者を決める
- ③ 期間を決める
- ④ 振り返りを行う
経営計画書を経営に活かそう
経営計画書は活用してこそ意味があります。経営計画書を実行に移す中で、計画通りにいかない場面が数多く出てきます。そんなときは、計画と実績の差異を分析して改善策を検討して、計画が実行できるようにします。経営計画書をもとに、実績と照らし合わせることで、計画に対して何がどれだけ足りなかったかも見えてきます。これこそがPDCAサイクルを回すことなのです。P(計画)とD(実行)はできても、C(評価)とA(改善)はできていないという会社が多くあります。経営計画書を活用し、実績に応じて改善を続けることで、会社も社員も成長できます。
経営計画書の作成は、慣れないうちは難しく感じるかもしれません。経営計画書を立てる上では、財務参謀(CFO顧問)にアドバイスを受けながら作成支援されるとより良いです。
ぜひご活用ください
当社では、経営計画書をたくさんの経営の神様、経営者、一部上場の経営者、米国の経営の大学院教授、米国の経営コンサルタント、日本政策金融公庫中小事業本部企業支援部の著書及びアドバイスを頂きながき参考にして、45年の会計人と経営者の研究と経験を活かして、オリジナルの業績不振の赤字会社から黒字企業そして優良企業になるように「成長優良企業改善計画書」を創りました。
代表 石井 輝光
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