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読めば納得!資金繰りが苦しい会社の6つの特徴&楽になる方法
長引く不況の中、経営者はほぼすべてが「資金繰りが苦しい…」と感じているといっても過言ではありません。とはいえ、資金繰りが苦しい原因は会社によって様々です。
本記事では資金繰りが苦しい会社の代表的な特徴を6つにまとめました。御社はどの特徴に当てはまるでしょうか?その特徴に合わせて、短期的な改善策と根本的な改善策を紹介しています。ぜひ、資金繰り改善の参考にしてください。
資金繰りが苦しい会社6つの特徴
資金繰りが苦しい会社には多くの共通点があります。ここでは資金繰りが苦しい会社の特徴を6点にまとめました。自社に当てはまる要素がないかチェックしてください。
特徴1:利益が上がっていない
会社そのものが赤字であれば、どれだけ資金繰り対策を行っても、最後は現金が足りなくなってしまいます。
会社の中には、過剰な値引きをしたり、営業マンを増やしたり、広告を大量に出したりして、売上至上主義に陥っているところがあります。しかし、それによって原価が多くかかったり、人件費や広告費などの経費を多く使ったりすれば、利益率は悪化します。売上をつくることは重要ですが、利益を伴った売上でなければ、手元資金も減少します。
逆に、経費削減に必死になるあまり、古い設備をそのままにしたり、従業員が離職し、人手不足に陥ったりする会社もあります。そのような会社では、経費ひとつひとつの性質を吟味することなく、無駄な経費も、会社を維持するための経費や売上をつくるための投資となる経費もひとくくりにしているのです。
売上ではなく利益に注目し、自社の利益率を高める対策を取ることが必要です。
特徴2:売上債権が増加している
売掛金や受取手形などの売上債権の金額が増加すると、それだけ多くの現金を自分の会社が立て替えることになり、資金繰りが厳しくなります。売上債権が増えてしまうのは、主に2つの原因があります。
売上債権回収までの期間が長い
売上が発生して売掛金を回収する、または受取手形として回収するまでの期間が長いと、資金繰りが厳しくなってしまいます。長くなった顧客とは、支払サイトを見直し、取引先との交渉を検討しましょう。
支払サイトの交渉については、「支払サイトの交渉で資金繰りを改善する方法」で詳しく説明していますので、こちらも参考にしてください。
回収できない売上債権がある
締切日に入金されず、督促しても支払いがないような、回収できない売上債権はないでしょうか? 回収できない売上債権は資金繰りを圧迫します。受取手形であれば手形割引を行ってすぐに現金化するなどの措置が必要です。
手形割引については「意外に知らない手形割引の仕組みとメリット・デメリット」で詳しく説明していますので、こちらも参考にしてください。
特徴3:在庫が増加している
在庫金額が大きくなっていくと、それだけ現金化されていない資産が大きくなり、資金繰りが厳しくなります。在庫が積みあがるのは主に3つの原因があります。
売れない商品を多く仕入れている
需要以上に商品を仕入れると、売れない商品を多く抱えることになってしまいます。また、売れない状態が長く続けば、その商品は不良在庫となり、会社にとっての大きな負担になます。
不良在庫が増えている
不良在庫とは、トレンドに遅れた商品や季節外れになった商品、賞味期限切れや消費期限切れになった商品など、売れないまま長期間が経過した商品のことです。不良在庫は現金化できないだけでなく、倉庫代や在庫管理の人件費など、さまざまなコストがかかります。
在庫管理が行き届いていない
在庫は常に、どの商品、どの原材料がどれだけあるかを把握しておく必要があります。そうしなければ、同じ商品・同じ原材料を過剰に仕入れることにつながります。
在庫が増加している会社は、なぜ在庫が積みあがっているのか原因を把握した上で、在庫管理体制を構築し、在庫を減少させる方法を検討しましょう。
特徴4:過剰な設備投資をしている
設備投資自体は会社にとって必要なことですが、過剰な設備投資は資金繰りを悪化させる要因のひとつです。
設備投資を行う会社の多くは、自己資金ではなく、銀行からの借入金によって設備投資を行います。そのため、設備投資を行った後、返済が始まります。その結果、返済負担が大きかったり、設備投資による売上増が期待したほど上がらなかったりした場合、会社の資金繰りはたちまち悪化してしまいます。設備投資をする際には、借入金の返済期間をできるだけ長期にし、それと同時に長期的な返済シミュレーションを行うことが重要です。
特徴5:現金が社外流出している
現金が流出すれば、資金繰りはその分、苦しくなります。現金の社外流出は、社長が公私混同を行う場合だけではありません。長いつきあいのある取引先から頼まれて、株式や社債を購入したり、貸付金としてお金を出したりするケースもあります。
貸借対照表を見て、価値のない株式や返ってくる見込みのない貸付金など、資産価値のない資産が計上されていないかどうかをチェックしましょう。
特徴6:社長が財務や会計に苦手意識を持っている
資金繰りが厳しい会社の特徴の6点目は、上記5つのような問題が起こっているにも関わらず、社長がまったく気づかないパターンです。
会社の資金繰りを円滑に回すには、社長自身が資金繰りを理解していることが何よりも大切です。しかし、社長のなかには、財務や会計に苦手意識を持ち、経理担当者にまかせっきりにしている人も多く見られます。
確かに売上をつくることや、従業員の暮らしを守ることなど、社長の役割は数多くありますが、社長が財務や会計の根本を理解していないと、資金繰りに危険なサインが出ていても気がつかないことがあります。危険なサインを見過ごし、資金繰りに行き詰ってくると、社長自身が金策に走り回らなければならず、そうなると、本来の社長の業務もおろそかになってしまいます。
資金繰りを短期的に楽にする方法
中小企業が短期的に資金繰りを楽にするためには、いくつかの戦略があります。以下に代表的な5つの具体的な方法を挙げます。
1. 売上債権を早期回収する
手元にある現金化されていない売上債権を現金化することによって資金繰りを改善できます。この方法には、売掛債権を現金化するファクタリングと受取手形を現金化する手形割引があります。
ファクタリング
売掛金を早期に現金化するために、ファクタリング会社に売掛金を売却する方法です。手数料がかかりますが、即時に現金を得ることができます。
ファクタリングについては、次の記事で詳しく説明しています。
>> 「ファクタリングは違法でヤバい?メリット・デメリットを知っておこう」
手形割引
銀行や手形割引業者に依頼して、期日前に受取手形を現金化する方法です。手形の額面金額から支払期日までの金利や手数料を引いた金額を受取ります。ファクタリングより手数料は低いことが一般的です。
手形割引については、次の記事で詳しく説明しています。
>>「意外に知らない手形割引の仕組みとメリット・デメリット」
2. 短期借入金を活用する
中小企業の資金調達先として、最も多く利用されているのが銀行や信用金庫などの金融機関から融資を受けることです。資金繰りが厳しくなって、短期的に改善するためによく行われているのが、短期借入金の借り入れです。
短期借入金は主に運転資金が想定されており、1年以内に返済期日が到来するため、長期借入金よりも金利が低く設定されています。また、信用がある会社であれば、低金利での融資を受けることも可能です。1年以内に返済が必要なため、返済計画をきちんと立てておく必要があります。
融資を依頼する場合は、次の3点を明確にしておきましょう。
- ①使用目的
- ②資金繰りが苦しくなった理由
- ③返済金の財源
3. 少人数私募債を発行する
中小企業が債権を発行し、身内や従業員、取引先など、特定の50人未満の少人数を対象に募集を行うのが少人数私募債です。担保や保証人も不要で、手続きも簡略化でき、償還期間や利率も自由に設定できます。
少人数私募債については、次の記事で詳しく説明しています。
>>「中小企業こそ少人数私募債で資金調達しよう」
4. 支払の延期を依頼する
仕入先に対して支払い期限の延長を交渉してみましょう。これにより、一時的ではあっても手元資金を長く保持することができます。とはいっても、双方に信頼関係がなければ成立しませんし、この依頼によって信頼関係を失う可能性もあります。
5. 資産を売却する
自社ビルや駐車場など、保有する施設や不動産を売却し、その売却資金を資金繰りに充てる方法があります。
また、自社の社屋や機械設備などを売却して資金調達に充てつつ、売却と同時に賃貸契約を交わし、賃料を払いながら利用し続けるという方法もあります。リースバックによって、資金繰りにゆとりをもたせながら必要な設備を引き続き使用することができます。
資金繰りを根本的に楽にする方法
上記のような方法では、一時的に資金繰りを楽にすることができても、根本的な対策を取らない限り、また悪化する可能性は高いです。以下に代表的な6つの方法を説明するので、資金繰りの根本的な改善方法を理解し、自社に合った改善策を採用してください。
1. 財務管理を強化する
最初にすべきは、お金の出入りを「見える化」することです。まずは次の3つの表を用意しましょう。
- 貸借対照表…前期決算との差額や、前月との差額を出すことで、財務状況が確認できます。「売掛債権が増えている」「棚卸資産が増えている」などのチェックができます。
- 損益計算書…損益計算書で売上、原価、経費、利益がわかります。月次損益を確認すれば、「今期は計画利益に対し、300万円が未達だ」などが見えてきます。こうすることで、次に何をすべきかが見えてきます。
- キャッシュ・フロー計算書…現金の増減額が営業、投資、財務に分けて記録されているため、それぞれの部門に分けて増減要因の分析ができます。キャッシュ・フロー計算書によって、実際にどのくらいのお金が動いて、手元にどのくらいお金があるかがわかります。
さらに、この3つの表を元に、資金繰り表を作成します。日繰り表と月繰り表の2種類の資金繰り表によって、「いつまで資金がもつのか」「問題があるとしたら、要因は何か」「資金が不足する場合、どのように対処するか」などを判断ができます。
2. 売上の安定化と拡大を図る
売上を安定化し、さらに拡大するためには、次の2点を検討してください。
優良顧客と強固な信頼関係を構築する
自社の製品を頻繁に、かつ大量に購入してくれる「お得意様」は会社にとって大切な存在です。「パレートの法則」といって、全体の顧客のうちの上位2割が売り上げの8割をつくっているという考えがありますが、体感的にも思い当たる人は多いのではないでしょうか?自社の取引先を分類し、自社にとっての「お得意様」を見つけ、2割の「お得意様」に集中的にアプローチし、顧客の満足度を高めるような施策を取りましょう。
ターゲットを定めた営業を強化し、ホームページを活用する
やみくもに営業をかけるのではなく、自社の製品やサービスが顧客の困りごとの解決につながるような顧客を探し、集中的に営業を行います。また、自社のホームページを作成し、逆に潜在的な顧客に自社を見つけてもらうようにします。
3. 経費削減を行う
経費削減を行うためには、まず経費が適切に使われているかどうかを把握しなければなりません。そのために次の3点を行ってください。
経費を洗い出す
総勘定元帳を見ながら、いつ、どんな経費を、どこへ支払ったかを洗い出します。
経費を使った目的を把握する
経費の目的に従って、将来のために使う経費である投資、事業を維持するために使う経費、無駄に使った浪費に分類します。浪費はもちろん、必要経費とされるものも本当に必要なのかを吟味します。
投資の費用対効果を検討する
広告費であれば、広告によりどれだけの売上・利益が上がったかを見ていきます。費用対効果が上がっていなければ削減します。
4. 在庫管理を最適化する
在庫を定期的に見直し、不要な在庫を抱えないよう適正在庫を維持します。また、在庫を最小限に抑え、必要な時に必要な量だけ生産・購入するジャストインタイム生産を導入します。
5. 取引先と締め・支払いサイト変更の交渉を行う
資金繰りでは支払資金と入金資金の時間差を調整することが、重要な改善ポイントです。仕入れの代金はゆっくり支払い、販売代金はすぐに回収することが基本です。そのためには、締め・支払サイトの変更が重要なのですが、自社の都合で一方的に実行はできません。そのため、普段から取引先と良好な関係性を維持し、割引などの条件を含めて、双方が納得できるような取り決めを行いましょう。
6. 信頼できる専門家と相談する
資金繰りの改善は、「お金を確保できれば終わり」はありません。根本的に経営改善を行っていくためには、御社のことをしっかり理解し、同時に経営ノウハウを理解している税理士や会計士、コンサルタントと二人三脚で進める必要があります。「財務のことはわからないから」とまかせっきりにせず、信頼できる専門家と息の長いつきあいをしていきましょう。
まとめ
本記事では、資金繰りが苦しい会社の特徴と、楽になる方法を短期的・根本的に分けて、あすかタックス&コンサルティングが解説しました。
資金繰りが苦しい会社は、まずは短期的な対処療法を試し、引き続いて根本的な改善策を取っていかなければなりません。しかし、根本的な改善策はもちろん、対処療法的な施策も、社長がどれだけがんばっても、できることには限界があります。
自社の資金繰りの問題を見つけ、資金繰りを改善するためにも、プロの手を借りることは重要です。あすかタックス&コンサルティングは、これまで多くの中小企業の資金繰りの改善に尽力してきました。資金繰り改善に、どこから手を付けて良いかわからないとお悩みの経営者は、ぜひ無料相談をご利用ください。
代表 石井 輝光
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