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赤字企業でもデキる資金調達。オススメの調達方法と流れ
決算期が近づくと、「赤字になるのではないか?」と胃が痛むような思いをする経営者や個人事業主は多いことでしょう。
しかし、仮に決算が赤字でも、会社経営や事業経営が継続できなくなる(=倒産する)わけではありません。資金調達さえできれば、倒産は回避できます。逆に、どれだけ黒字経営であっても、資金不足のために倒産する場合もあります。
本記事では赤字企業でもできる資金調達の方法と調達の流れを説明します。経営者にとって重要な資金調達法を理解しておきましょう。
資金調達とは?
資金調達とは、新規事業に必要な設備投資の資金、また事業を運営していくために必要な原材料費や仕入れ代金、人件費、広告宣伝費、賃貸料など、さまざまな資金を調達することをいいます。
資金調達がなぜ必要なのか?
新しく事業を始めるときには、設備投資をしなければなりません。人件費も必要です。事業がスタートして商品やサービスの販売が始まっても、売上が生じるまでは一定の期間がかかります。事業が順調に進み、売上が増えたとしても、その分、仕入れ代などの支払いも増えます。このように事業はどれだけ順調に進んだとしても、どこかの段階で手持ち資金が不足する状況に陥ってしまいます。事業の各段階で手持ち資金の不足分を埋めるために必要なのが、資金調達です。
儲けが出ていない赤字経営であっても、原材料費や仕入れ代金、借入金、給料などを期日に支払うことができれば倒産することはありません。会社経営や事業経営の継続ができなくなる「倒産」は、資金が枯渇して支払期日にお金が支払えなくなった場合に起こります。
資金調達は経営者の役割
経営者の役割は、自社の業績を上げることと並んで、資金繰り(資金をやりくりすること)があります。業績アップは従業員の努力がなければ達成できませんが、資金繰りは経営者の役目です。資金繰りの中心となるのが資金調達で、自社の事業を継続できるかどうかは経営者の資金調達にかかっています。
参考>>「会社の資金繰りを劇的に改善する8つの方法 ~資金繰り悪化はすべて社長の責任です」
主な資金調達方法
企業の資金調達については、大きく分けて5つの方法があります。
- 融資を受ける
- 資本性ローンを受ける
- 資本を増やす
- 資産を現金化する
- 補助金や助成金を受ける
それぞれの方法について、具体的な内容まで含めて説明します。
融資を受ける
政府や金融機関から融資を受ける方法です。融資の主な方法には次のものがあります。
- 政府系金融機関からの融資
- 銀行からの融資
- ノンバンクからの融資
政府金融機関からの融資
政府系金融機関として日本政策金融公庫があります。日本政策金融公庫は国が出資している融資専門の金融機関で、中小企業への資金調達を積極的に行っています。ここではセーフティネット貸付と新型コロナ対策資本性ローンの2種類を紹介します。
- セーフティネット貸付
- セーフティネット貸付は経営変化対応資金ともいい、なかでも経営環境の変化により、一時的に事業状況が悪化している企業が利用できる融資です。営利目的ではないため、他の方法と比較して金利が低く、返済期間も長いというメリットの反面、提出書類が多く、審査期間が長いというデメリットもあります。
- 新型コロナ対策 資本性ローン
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新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受けた中小企業の財務基盤を強化し、経済活動の回復をうながすことを目的とした融資です。具体的には次のような特徴があります。
- 1. 無担保・無保証
- 2. 融資限度額が別枠10億円まで可能
- 3. 返済期間が最長20年以内で余裕を持った返済が可能
- 4. 返済方法も柔軟で、毎月の返済は0円で0.50%~2.95%の利息払いのみ
- 5. 自己資本を強化することによって信用が上がり、追加の融資が受けやすい
- 6. 劣後ローン(返済順位が低いローンで自己資本の一部に組み込まれている)
銀行からの融資
企業が最も一般的に利用する資金調達方法です。銀行からの融資を求める場合には決算書の提示が求められるため、「赤字決算では融資が受けられないのでは?」と心配かもしれませんが、融資審査の仕組みを理解し、適切な準備を行うことで融資を受けられる可能性が高くなります。
ノンバンクからの融資
ノンバンクとは、銀行以外の金融機関のことです。近年ではオンラインレンディングも加わり、ノンバンクも種類が増えています。一般に銀行よりも金利が高いところが多く、利用には注意が必要ですが、審査のスピードが速いというメリットもあります。
資本を増やす
増資によって資金調達する方法です。融資に比べて一般的ではありませんが、資金調達の方法の選択肢を広げるためにも理解しておきたい方法です。資本を増やす主な方法として、次のものがあります。
- 第三者割当増資
- ベンチャーキャピタルからの出資
- クラウドファンディング
第三者割当増資
第三者割当増資とは、新しく株式を発行し、既存の株主ではない特定の第三者に、新株を売却する方法です。返済の必要がなく、自己資金を強化することができますが、株主が増えることにより、本来の経営者の裁量権が制約されるというデメリットもあります。
ベンチャーキャピタルからの出資
ベンチャー企業の資金調達方法として、ベンチャーキャピタルと呼ばれる投資会社やファンドに投資してもらう方法があります。ベンチャー企業は株式を発行して出資を募り、資本調達を行います。返済の必要はありませんが、出資に見合うリターンが求められます。
クラウドファンディング
企業が個人投資家から少額の投資を幅広く募る方法です。インターネット上で自社の事業計画を説明し、賛同者を集めます。SNSを通じた広報活動や賛同者(出資者)との継続的なコミュニケーションが求められ、成功すれば資金調達にとどまらない波及効果が期待できます。
資産を現金化する
企業が保持する資産を現金化する方法です。不動産や遊休施設の処分などもありますが、本記事では近年注目されているファクタリングを紹介します。
ファクタリング
売掛金をファクタリング会社に売却し、売掛金の入金前に現金化する方法がファクタリングです。企業は売掛金を早期に現金化できるため、資金調達の手段やキャッシュフローの改善として利用されています。反面、手数料や利息が発生するため、売掛金の額によってはコストが高くなる場合があります。
補助金や助成金
政府や自治体から補助金や助成金として、資金の調達ができます。多数の補助金や助成金が準備されているので、自治体のホームページで確認してみましょう。基本的に返済は不要ですが、事前に届出を行い、要件を満たしているかどうかの審査があります。
資金調達のメリットとデメリット
資金調達を行うことによるメリットとデメリットを整理しましょう。
資金調達を行うことのメリット
資金調達のメリットは、大きく3点にまとめることができます。
1. 企業経営の安定につながる
帳簿上は黒字であっても、売上の長期化や掛け売りなどの入金の遅れによって運転資金が不足するような場合でも、資金調達によって事業の継続が可能になります。また、赤字であっても、資金調達を元手として経営改善策を実施することもできます。
2. 新規事業に取り組むことができる
資金調達によって、新規事業や製品開発・研究のための投資が可能になります。
3. 企業価値の向上が期待できる
資金調達によって負債を増やすことで、自己資本に対する利益率を高め、株式の価値が上がる可能性があります。
資金調達のデメリット
資金調達には次の2点のデメリットがあることを理解しておきましょう。
1. 利息や返済のための費用が発生する
資金調達のために融資を受けた場合、利息の支払いや借入金の返済を行わなければなりません。この利息や返済が経費となって、将来的に経営を圧迫する可能性があります。融資を受ける場合は現況や決算書、改善策などを検討したうえで、必要な資金額を割り出すことが重要です。
2. 経営が制限される可能性がある
株式を発行したり、投資を受けた場合には、株主や投資家からの干渉が生じ、自由な経営が制限される場合があります。
しかし、経営者がデメリットを恐れ、資金調達をしないままだと、事態は一層悪化します。リスクを踏まえつつ、最小限にとどめる方法を考えるために、コンサルタントへの相談を検討してください。
資金調達の流れ
資金調達は次の流れで行います。
- 1. 企業内部の資金を見直す
- 2. 資金調達の目的と必要額を明確にする
- 3. 資金調達先を選択する
- 4. 資金調達に必要な書類を用意する
- 5. 資金調達のための手続きを行う
1.企業内部の資金を見直す
本業が順調な企業であれば、毎年、利益剰余金(内部留保)が出ているはずです。まずはこの利益剰余金がどれだけあるか、必要な資金を賄えるかどうかを検討します。企業内部の資金を見直し、内部留保がどれだけあるかを確認しましょう。
2.資金調達の目的と必要額を明確にする
外部から資金調達をする場合には、目的と必要な額を明確にする必要があります。
金融機関からの融資は、設備資金と運転資金に大別されます。設備資金の融資を受ける場合は、購入前の段階で、見積書や設計書などと合わせて融資の申し込みを行います。運転資金の場合は、何のために使う資金か(資金使途)を明確にして申し込みます。
3.資金調達先を選択する
金融機関からの融資を選択する場合は、政府系金融機関か、銀行かを検討します。銀行には都市銀行や地方銀行、信用金庫や信用組合などさまざまな種類の銀行があり、事業規模や特性、自社の活動エリアに合った銀行を見つけることが重要です。
また、増資によって資金調達をする場合には、投資家や株主が出資したくなるような、魅力的な事業プランを用意できるかどうかを検討する必要があります。
4.資金調達に必要な書類を用意する
資金調達には、調達先によって必要とされる書類が異なります。多くの場合、財務諸表や事業計画書、担保関連の書類などが求められます。
5.資金調達のための手続きを行う
資金調達の基本的な流れは、申し込みと書類提出⇒面談⇒審査⇒決定となっています。出資先によって、申し込みから決定までの期間には幅があります。
自社に合った資金調達方法を見つけ、準備に取りかかろう
企業経営を継続していくためには、資金調達がどうしても必要です。資金調達方法としては、銀行や政府系金融機関からの融資が一般的ですが、そのほかにも、資本を増やしたり、資産を現金化したり、助成金や補助金を受けるなど、さまざまな方法があります。
どの方法を取るにしても、資金調達のためには入念な準備が必要です。自社の経営状況を見直し、将来に向けた事業計画と合わせて、何のために、どれだけの資金が必要なのかを明確化しなければなりません。
資金繰りに詳しい経営コンサルタントの助けを借りて、自社に最適な資金調達方法を見つけてください。
代表 石井 輝光
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