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【令和5年12月版】まだまだ使える新型コロナの資金繰り支援はこれだ!
これまで新型コロナウイルスの影響を受け、資金繰りが苦しくなった事業者がすばやく利用できるように、政府主導の資金繰り支援制度が数多く出されてきました。コロナ禍はピークを過ぎたようですが、世界的な燃料危機や物価高騰と、中小企業事業者にとっては厳しい情勢が続きます。
こうした状況下、政府の支援制度も延長され、令和6年(2024年)3月末日まで、中小企業や個人事業者が資金繰りに利用できる5つの支援制度があります。本記事では2023年(令和5年)12月現在、まだまだ使える5つの支援制度を紹介します。
コロナ以降も使える5つの資金繰り支援
中小企業や個人事業者が資金繰りに利用できる支援制度として、次の5つのものがあります。
- 1.低利・無担保融資
- 2.新型コロナ対策資本性劣後ローン
- 3.セーフティネット貸付
- 4.コロナ借換保証制度
- 5.セーフティネット保証4号
各項目について、詳しく見ていきましょう。
1. 低利・無担保融資
2022年9月終了した実質無利子・無担保融資(ゼロゼロ融資)の後を受け、コロナ資金繰り支援の継続・拡充として始まった低利・無担保融資の最新版です。コロナウイルス感染症の影響を受け、売上が減少した事業者に対して、低利・無担保で融資が受けられる日本政策金融公庫による制度です。
実施期間
令和6年(2024年)3月末日まで実施されます。
制度概要
当初3年間は基準金利マイナス0.5%で融資を受けられます。
対象者
- ① 新型コロナの影響で、売上が5%以上減少した事業者
- ② 新型コロナの影響で、債務負担が重い事業者(債務償還年数13年以上)
低利上限
4億円
貸付期間
- 運転資金20年以内
- 設備資金20年以内
据置期間
最大5年間、元金の支払いが猶予されます(利息のみの支払)。
2.新型コロナ対策資本性劣後ローン
新型コロナウイルス感染症の影響を受け、資金繰りが一時的に困難になった企業に対する融資制度です。月々利子のみの支払いで元金の支払いがないため、資金繰りの改善に効果を上げます。
実施期間
令和6年(2024年)3月末日まで実施されます。
制度概要
資本性劣後ローンは、通常の融資とは異なり、「負債」ではなく「資本」とみなされる融資制度です。そのため、他の金融機関からの追加融資が受けやすくなるというメリットがあります。
>>資本性劣後ローンをおすすめする理由
>>参考:資本性劣後ローンとは
対象者
- ① J-Startupに選定された事業者、又は中小機構が出資する投資ファンドから出資を受けた事業者
- ② 再生支援協議会の関与のもとで事業の再生を行う事業者、又は中小機構が出資する投資ファンドの関与のもとで事業の再生を行う事業者
- ③ 事業計画を策定し、民間金融機関等による協調支援体制が構築されている事業者
融資上限と貸付利率
- 上限15億円
- 3年間の利率は一律0.5%
- 4年目以降は業績に応じて利率が変わり、赤字の場合は引き続き0.5%
貸付期間
- 5年1か月、7年、10年、15年、20年で一括返済
3. セーフティネット貸付
セーフティネット貸付(経営環境変化対応資金)は、円安・物価高など経営環境の悪化によって、一時的に売り上げが大きく落ちた中小企業を支援し、経営基盤を強化することが目的の制度です。日本政策金融公庫から直接融資を受けるのが特徴で、運転資金および設備資金として借り入れ可能です。
実施期間
令和6年(2024年)3月末日まで実施されます。
制度概要
基準金利マイナス0.4%で融資を受けられます。
対象者
ウクライナ情勢・原油価格上昇など経営環境悪化が原因で、利益率が減少した事業者
融資上限
7億2千万円
貸付期間
- 運転資金8年以内
- 設備資金15年以内
据置期間
最大3年間、元金の支払いが猶予されます(利息のみの支払)。
問い合わせ先
日本政策金融金庫資金相談ダイヤル(0120-154-505)
4. コロナ借換保証制度
「民間ゼロゼロ融資」(実質無利子・無担保、据置期間最大5年)を利用した事業者の元金返済が始まる2023年7月以降、業績が回復せず、返済ができない事業者を始め、他の融資の借換や資金が必要になった事業者が利用できるのが2023年1月10日から始まったコロナ借換保証制度です。
実施期間
令和6年(2024年)3月末日まで実施されます。
制度概要
民間ゼロゼロ融資や他の保証付き融資の借換、返済負担軽減だけでなく、事業の再構築などの投資に必要な「新たな資金需要」にも対応できる借換保証制度です。
対象者
売上または利益が5%以上減少しており、経営行動計画書を作成し、金融機関による継続的な伴奏支援を受けている事業者
融資上限
1億円
保証料0.2%
据置期間
保証期間10年以内
最大5年間、元金の支払いが猶予されます(利息のみの支払)。
5. セーフティネット保証4号
セーフティネット保証4号とは自然災害などの突発的事由(噴火、地震、台風等)で経営が悪化した中小企業者が、スムーズに資金供給を受けられるよう、信用保証協会が通常の保証限度額とは別枠で借入債務の100%を保証する制度です。コロナ禍で、セーフティネット保証4号が資金繰り支援措置として指定されました。
2023年(令和5年)10月1日以降、新規融資資金の利用はできなくなり、資金使途が借換に限定されています。
実施期間
令和5年(2023年)12月末日まで実施されます。
制度概要
一般保証と別枠で利用できる保証制度です。
対象者
新型コロナの影響で、売上が減少しており、借換目的の事業者
保証上限
一般保証とは別枠で2億8千万円
保証割合:100%保証
資本性劣後ローンがオススメです
中小企策の資金繰り支援制度として、2023年11月現在でも利用できるものを5つ紹介しましたが、上記の中でおすすめしたいのが、新型コロナ対策資本性劣後ローンです。
資本性劣後ローンをオススメする理由
他の融資や制度と比較して資本性劣後ローンがオススメなのは、次の3つの理由があります。
自己資本として計上される
貸借対照表では、通常の融資が「負債」として計上されるのに対し、資本性劣後ローンの融資を受けた場合は、「自己資本」として計上されるため、融資を受けることで自己資本率が上昇します。これにより、他の金融機関から追加融資を希望する場合、資金調達がしやすくなるという利点があります。
最長20年間の一括返済で、毎月の返済がない
資本性劣後ローンは借入期間中に発生するのが利息の支払いのみで、元金返済の必要がありません。融資期間は5年1か月、7年、10年、15年、20年の中から選ぶことができ、最長で20年間、毎月の返済に追われることはありません。一時的に悪化した自社の資金繰りを安定させたい事業者にとって、最適な制度だといえます。
業績に応じて金利が設定される
資本性劣後ローンは、毎月利子を返済しなければなりませんが、その利率は業績に応じて毎年調整されます。業績が悪化した場合は金利が低下されるため、返済の負担が軽減します。
新型コロナ対策の資本性劣後ローンは通常よりもメリットが多い
新型コロナ対策資本性劣後ローンは、通常の資本性劣後ローンと比較しても、数々のメリットのある融資制度です。一般的な資本性劣後ローンと比較した場合の新型コロナ対策資本性劣後ローンのメリットを見てみましょう。
新型コロナ対策資本性劣後ローンの方が利率が低い
通常の資本性劣後ローンの利率が0.95%~6.20%であるのに対し、新型コロナ対策資本性劣後ローンの利率は当初3年間は一律0.5%、以降業績に応じて0.50%~2.95%
新型コロナ対策資本性劣後ローンの方が融資限度額が高い
通常の資本性劣後ローンの融資限度額が4,000万円であるのに対し、新型コロナ対策資本性劣後ローンの融資限度額は15億円
新型コロナ対策資本性劣後ローンの方が貸付期間が長い
通常の資本性劣後ローンが5年1か月以上15年以内であるのに対し、コロナ対策資本性劣後ローンは返済期間を5年1か月、7年、10年、15年、20年の中から選ぶことができる
このようにさまざまな面で優遇されている新型コロナ対策資本性劣後ローンの利用をぜひ検討してください。
まとめ
今回は、2023年11月現在でも利用できる5種の資金繰り支援制度を紹介しました。「ゼロゼロ融資」として知られる無利息・無担保融資の後継制度である「低利・無担保融資」や、メリットの多い「資本性劣後ローン」、また物価高対策など経営環境の悪化に対応した「セーフティネット貸付」、民間ゼロゼロ融資などからの借換を支援する「コロナ借換保証制度」や、一般保証と別枠で利用できる「セーフティネット保証4号」など、自社の状況に合わせてより良い制度を選ぶことができます。自社の事業全体を把握し、適切な支援を行ってくれる専門家と相談しながら進めましょう。
コロナ禍で資金繰りに悩む事業者の方は、資本性劣後ローンやコロナ対策資本性劣後ローンの経験豊富な認定支援機関あすかタックス&コンサルティングにお問い合わせください。
代表 石井 輝光
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