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法人が不動産賃貸経営で収益を安定させる方法

カテゴリー: 経営・コンサルティング

先行き不透明な時代を生き抜くために経営多角化を検討する企業にとって、不動産賃貸経営は有力な選択肢のひとつです。これまでどちらかというと、個人の資産運用や、引退後の賃貸収入を得る手段として考えられていた不動産賃貸投資ですが、昨今では企業の経営多角化戦略の一環として、不動産賃貸経営に参入する企業が増えています。

本記事では不動産賃貸経営とは何かという基礎的なことから、メリットとデメリット、まず始めるならどんな賃貸経営が良いのか、収益性が高い物件の見分け方などを具体的に説明します。不動産賃貸経営を検討する際の参考にしてください。

不動産賃貸経営とは

家賃収入

不動産賃貸経営とは、オフィスや住宅、店舗などの不動産を貸し出し、借主から得られる賃貸料を収益とする事業です。

不動産賃貸経営を行う場合には、希望者の募集や交渉、契約の手続きから賃貸料の徴収・管理、また賃貸不動産の維持管理などの多岐にわたる業務が発生します。しかし、多くの法人は、これらの業務を不動産会社や不動産管理会社に委託しており、企業が実際に賃貸業務を行う必要はほとんどありません。

不動産賃貸経営に参入し、不動産による収益を得ている企業の一例として、デパートの高島屋 があります。コロナ禍で営業が低迷した高島屋は、2023年1月、高島屋立川店の営業を終了しました。その後、高島屋立川店は立川高島屋ショッピングセンターとしてリニューアル、高島屋撤退後の空きスペースにはニトリやユザワヤなどの専門店が営業を開始しています。高島屋はそのショッピングセンターに「大家」としてのみ関わり、テナントの賃貸料を収入とする不動産業に参入することになりました。

このように、自社が保有する不動産や遊休施設、稼働率の悪い生産施設、倉庫、駐車場などを活用し、そこから賃貸収入を得ることで、コア事業にプラスして経営多角化を実践することができます。

法人が不動産賃貸経営するメリット・デメリット

法人が不動産賃貸経営を行うメリットとデメリットを整理しておきましょう。

法人が不動産賃貸経営を行うメリット

法人が不動産賃貸経営を行うメリットとしては、次の6点があります。

安定した収入源が得られる

不動産賃貸経営によって得られる賃貸収入は、定期的で安定した収入となり、事業のキャッシュフローの上でも大きなプラスになります。

収入源を多様化できる

不動産賃貸事業をポートフォリオに加えることで、中小企業は収入源を多様化し、単一の収入源への依存を減らすことができます。

資産評価が上がる可能性がある

不動産賃貸物件は、時間の経過とともに価値が上昇する可能性があり、キャピタルゲインが見込める場合があります。

資金調達がしやすい

不動産賃貸経営を行うために必要な資金を用意するために融資が必要な場合でも、不動産経営は他の事業融資に比べて融資が受けやすいというメリットもあります。

税制優遇措置の適用が受けられる

不動産賃貸物件を所有することで、経費控除や減価償却費の控除、また法人住民税の減免など、税制上のメリットがあり、事業全体の税負担を軽減できる可能性があります。企業が不動産賃貸経営を検討する際には、専門家や税理士のアドバイスを受けることが重要です。

リスク分散が可能になる

不動産賃貸による収入は、インフレや景気変動に対するリスクヘッジになります。仮にコア事業が不振に陥ったとしても、安定した収入があることで、企業全体の健全性を維持することができます。

法人が不動産賃貸経営を行うデメリット

一方で、法人が不動産賃貸経営をする際には以下のようなデメリットも存在します。

初期投資が必要になる

不動産物件の取得や建て替えなどには、多額の先行投資が必要な場合が多く、中小企業の資金力を圧迫する可能性があります。また融資を受けることで、コア事業の資金調達に悪影響を及ぼす可能性もあります。

アウトソーシング費用が必要になる

入居者の募集や賃貸物件の管理には専門的知識が必要で、ほとんどの企業は不動産管理サービスのアウトソーシングを委託しています。そのための運営コストが収益を圧迫する可能性があります。

市場変動の可能性がある

不動産市況は変動する可能性があり、景気後退により不動産価値や賃貸需要が減少する可能性があります。

空室がある場合、賃貸収入が途絶えるが、物件の維持管理費の発生は続く

賃貸物件には空室期間が発生し、この期間は家賃収入が途絶えます。しかし、維持管理費はその期間でも発生し、空き室期間が長く続くと収益性に影響を与える場合があります。

中小企業は、不動産賃貸事業を運用するメリットとデメリットを慎重に評価し、自社の財務能力、リソース、長期的な事業戦略に合致していることを確認する必要があります。専門家の助言は大きな助けとなるでしょう。

アパート・マンション・オフィスビルのどれがオススメ?

賃貸事業で扱う物件として、大別してアパート、マンション、オフィスビルの3種類があります。それぞれの物件の特徴を見ておきましょう。

おすすめ賃貸は

アパート

アパート経営は通常、一室ではなく、アパート一棟全体を管理するものですが、資金規模が小さくても可能なため、法人よりも個人が多く運用しています。法人の場合は、自社が保有する社員寮や独身寮を転用するケースもあります。

アパートはマンションに比べて賃貸料が安いため、学生や若い世帯の需要が高く、都心や大学、勤務先であるオフィス街にアクセスが良い地域で人気があります。反面、近年では供給過剰の傾向があるので、立地などを十分に見定める必要があります。

また、入居者の入れ替わりが激しく、定期的なメンテナンスが必要なため、信頼できる不動産会社や管理会社に委託することが必要です。

アパートや次に紹介する賃貸マンションなどの住居系は、景気変動の影響を受けにくいことが大きなメリットとしてあります。また、一般的な賃貸物件の契約は2年間のケースが多く、中長期での収益契約が立てやすいのも魅力のひとつです。

賃貸マンション

賃貸マンションは、さまざまな運用形態があります。土地を購入して賃貸マンションを建設し、入居者を募集して家賃収入を得るパターンや、自社が保有する遊休地にマンションを建設するパターン、マンション一棟を購入するパターン、また建設・購入したマンションの一部を社宅として使用しつつ、残りを賃貸で運用するパターンなどです。

賃貸マンションもアパートと同様、入居者が入ることによって収益が発生します。逆に言うと、空き室では管理運営費のみがかかってしまうということです。そのため、ターゲットに合った立地や設備を見定める必要があります。

オフィスビル

オフィスビルは、オフィススペース、コワーキングスペース、貸会議室など、主にビジネス目的で使用される賃貸不動産です。ビル全体を所有するにはかなり高額なため、ワンフロアや数室の区分所有をし、利用者を募集するという形態がとられます。また、自社で所有するビルの空き室を賃貸に出したり、コワーキングスペースとして事業化する方法もあります。

オフィスビルの賃貸経営は、アパートやマンションなどの住居系に比べて高い収益性が期待できることや、建築基準が厳しくないこと、契約期間が長い傾向が高いことなどのメリットがありますが、反面、景気変動の影響を受けやすいことや、空き室時のリスクが高いなどのデメリットもあります。

オフィスビルの賃貸経営も立地や周辺環境を選ぶことが重要です。それとともに、ビル経営の経験が豊富な管理会社と契約することが重要です。

収益性が高い不動産を見分け方

どのような不動産物件を選ぶかは、次の3点を基準に検討しましょう。

不動産の見分け方

立地が良いこと

駅が近いことや交通アクセスが良いことは、住居系の物件であっても、オフィス系の物件であっても、共に重要なポイントです。そのほかにも住居系であればショッピング施設が近隣にあること、一方オフィス系であればビジネス街にあることなど、目的に合わせた立地と、用意できる資金を合わせて検討します。

景気動向や需要動向を見極めること

景気動向や不動産物件の需要動向のほかに、その土地の需要動向も押さえておきたいポイントです。それまで不便なところだったのに、数年後に駅ができる、大型ショッピング施設が建設されるなど、その土地の状況をリサーチしておきましょう。

信頼できる不動産会社・管理会社のアドバイスを受けること

プロである不動産会社や管理会社の助けを抜きには不動産賃貸管理で収益を上げることはできません。経験豊富な税理士であれば、自社に合った不動産会社などを紹介してくれる場合もあります。不動産賃貸経営を検討する場合には、まず、自社の税理士に相談しましょう。

法人が不動産賃貸経営で成功するためのポイント

法人が不動産賃貸経営で成功するためには以下のポイントを押さえることが重要です。

1. リスク管理の徹底

不動産賃貸経営においては、リスク管理が非常に重要です。自社の財務状況を把握し、中長期的な視点に立って、コア事業にマイナスの影響を及ぼすことがないよう、検討しましょう。

2. 長期的な視野での運営

不動産賃貸経営は長期的な運営が求められます。物件の購入や改修には費用がかかりますが、長期的な視野での運営計画を立て、収益を安定化させることが重要です。

3. 専門家の支援を受ける

法人が不動産賃貸経営を行う際には、専門家のサポートが必要不可欠です。税理士を始め、不動産会社や管理会社などの専門知識を持つ人々のアドバイスを受けることで、成功への道が開けるでしょう。

まとめ

法人の不動産賃貸経営は、経営多角化の観点からも魅力的な選択肢です。安定した賃貸収入が得られること、資金調達が容易であることや税制優遇措置が受けられることなどのメリットがありますが、空き室リスクや運用コストなどのデメリットも存在します。

成功するためにはリスク管理や長期的な視野での運営、専門家のサポートの活用が重要です。法人が不動産賃貸経営を行う際には、これらのポイントを押さえながら進めることをおすすめします。

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代表 石井 輝光

貴社の社長にも質の高い国の経営改善・M&Aの認定機関として経営改革、資本性ローン等、地主・大家さんのタックス&コンサルティング、顧問等の支援を通してお伝えします。
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