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不動産投資のための資金調達5つのポイント
不動産投資に興味のある経営者や個人の方の中に、「自分には資産がないから…」とあきらめている人はいませんか?不動産投資は、投資資金を自己資金だけでなく借入で調達できるため、自己資金を抑えながら不動産投資を始めることができます。
ただし、不動産投資のための資金調達には、押さえておきたいポイントがあります。合わせて、資金調達を計画する際に注意しておきたいポイントや資金調達を有利に進めるための法人化についても説明します。
会社経営をしながら不動産投資を検討されている中小企業経営者や、将来のための資産形成の手段として不動産投資を検討しておられる個人の方は、ぜひ参考にしてください。
不動産投資のための資金調達5つのポイント
不動産投資を行う際には、住居用の住宅ローンではなく、不動産投資ローンで融資を受けることになります。不動産投資ローンで賢く資金調達するためのポイントを5点に分けて説明します。
1. 審査基準を理解する
最初に不動産投資ローンを申し込むとき、どんな点が評価のポイントとなるか、逆に、どういう点が問題になりやすいかを整理しておきましょう。
【融資を受けるために審査される項目】
物件について
融資対象の不動産の収益性について審査されます。「空き室リスク」が低いか、築年数が浅いかなどを中心に、物件として魅力的で収益性を見込めるかどうかが判断されます。
本人について
年収: 安定した収入があるかが判断されます。一般的に年収700万以上あることが望ましいとされています。
勤務先: 会社員である場合は、勤続年数が2~3年以上あること、勤務先の信頼性や安定性も判断材料になります。一般的には中小企業や自営業、個人事業主はおりにくい傾向があります。
資産状況: 保有する資産や貯蓄が評価されます。預貯金や有価証券など、また住宅ローンなどを完済していることも評価の対象になります。
実績: 過去に不動産経営の実績があるかどうかも考慮されます。すでにアパートやマンション経営などを行っている人は有利とされています。
【審査で問題になりやすいポイント】
物件価値について
物件の立地や市場価値が低い場合、融資が難しくなることがあります。
本人について
年収: 十分な収入がないと、返済能力に疑問が生じ、融資が受けにくくなります。
年齢: 年齢が高い場合、退職によって年収が減少したり、返済期間が制限されたりするため、不利になることがあります。
雇用形態: 正社員の場合、勤務先の企業規模が小さいと不利になる可能性があります。また、自営業者の場合、収入の不安定さが懸念されます。
頭金・自己資金: 頭金や自己資金が少ないと、信用力が低く見られ、融資が難しくなることがあります。
既存の借入: すでに多額の借入がある場合、追加で融資を受けることが難しくなります。
これらのポイントを事前に把握し、計画的に対応することで、融資審査をスムーズに進めることができます。
2. 銀行と不動産が同じ系列だと借りやすい
不動産投資で融資を受ける際には、不動産投資ローンを利用します。不動産投資ローンは都市銀行や地方銀行、信用金庫・信用組合、ノンバンクなど、各金融機関で扱っています。
しかし、自分で金融機関を探すよりも、不動産会社が提携している金融機関を利用する方が融資が受けやすくなることが一般的です。提携金融機関は、購入予定の物件や不動産会社の信用力を考慮して、スムーズな融資を進めやすいからです。また、提携ローンは金利や審査が優遇される場合もあり、手続きも不動産会社がサポートしてくれることが多いです。不動産投資初心者や時間を節約したい方には、提携金融機関を利用することが特におすすめです。
3. 複数の会社に借り入れと不動産取得を相談する
これから不動産投資を始める人は、不動産物件の取得や融資のことについて、不動産投資会社に相談することが一般的です。不動産投資会社は、不動産投資に関するプロフェッショナルのため、物件の紹介や、借入、購入後の管理など、長期的な相談に乗ってくれるでしょう。
しかし、不動産投資会社にもさまざまな強みがあり、自分の希望とかならずしも一致しない物件や融資先を勧められるケースもあります。そのため、一つの不動産投資会社に頼らず、複数の会社に相談し、比較しながら自分の希望に合ったところを見つけることが大切です。それぞれの不動産会社が提供する条件を比較することで、自分に最適な選択肢を見つけることができます。さらに、各社に競争意識を持たせることで、より良い融資条件を引き出すことも可能です。
4. 銀行に自分の強みを伝える
銀行は融資を決定する際、申請者の財務状況を詳細に審査します。そのため、企業経営者や個人事業主であれば、事前に自社やグループ全体の財産、債務、純資産を把握しておくことが重要です。また、家族構成や家系図といった情報も、信頼性を高める要素となります。これらの強みを銀行にしっかりと伝えることで、融資審査を有利に進めることができます。
5. 不動産管理の収支計画を立てる
銀行に融資を申請する際には、不動産管理の収支計画を立てておくことが必須です。収支計画に必要なポイントを以下に紹介します。
(1) 賃料収入の見積もりを現実的にする
賃料収入は不動産投資の主な収益源です。近隣の物件の賃料相場や過去の実績を参考に、現実的な収入を見積もることが必要です。また、空室率も考慮し、満室ではない期間も含めて計画を立てましょう。
(2) 修繕費や維持管理費も含める
物件の修繕や維持管理には定期的に費用がかかります。特に築年数の経過した物件では、設備の交換や大規模な修繕が必要になることもあります。これらの費用を適切に見積もり、計画に組み込むことが重要です。
(3) ローン返済額と金利の変動に備える
融資を利用している場合、毎月のローン返済額を収支計画に正確に組み込む必要があります。さらに、変動金利の場合は金利が上昇するリスクもあるため、将来的な金利変動も考慮したシミュレーションを行いましょう。
(4) 固定資産税や保険料を計上する
固定資産税や火災保険、地震保険といった各種保険料は、不動産を所有する限り毎年発生する固定費です。これらを計画にしっかりと組み込むことで、予想外の出費を防ぎます。
(5) 売却時の費用や税金も考慮する
将来的に物件を売却する場合、売却益に対する税金や不動産仲介手数料などが発生します。特に法人化している場合は、売却益に対する課税率が高くなることがあるため、これも収支計画に組み込みます。
(6) 予備費を確保する
不動産投資では、予期せぬ修繕や設備の故障など、突然の支出が発生することがあります。予備費を計画に組み込んでおくことで、急な出費に対応できるようにしておくことが大切です。
(7) 市場の変動を見越した計画を立てる
不動産市場は経済状況や地域の発展などの外部要因によって変動します。賃料や物件価値が下落する可能性も考慮し、リスクヘッジとしてシミュレーションを行いましょう。
(8) キャッシュフローのバランスを重視する
毎月の収入と支出のバランスが取れているかを確認し、マイナスのキャッシュフローにならないように計画を立てます。長期的なキャッシュフローの健全性が、不動産投資の成功を左右します。
資金調達で後悔しないための注意点
不動産投資を成功させるためには、資金調達がカギになります。ここでは資金調達の際に外せない3つのポイントを分かりやすく解説します。
1. 収支計画をしっかりと立てる
不動産投資は、物件購入後も毎月の返済や管理費など、継続的な支出が発生します。また、空き室リスクや修繕リスク、金利上昇リスクなど、考慮しておかなければならないリスクもあります。そのため、上記で紹介した点を網羅した収支計画をしっかり立て、計画通りに実行することによって、安全に返済を続けることができます。
2. 自己資金の割合を意識する
不動産投資では、自己資金が多いほど、金融機関からの評価が高まり、有利な条件で融資を受けられる可能性が高まります。一般的に、物件価格の20%~30%程度の自己資金が求められますが、物件の種類や金融機関によっても異なってきます。ただ、購入後の資金繰りを考えると、自己資金は最低でも300万円程度は用意しておいた方が良いでしょう。自己資金が少ない場合は、30%を目安に、まず買える物件を購入し、そこから上がる収益を蓄えて、次の物件を購入する原資にすることを考えてください。
3. 専門家のアドバイスを受ける
収支計画や自己資金の割合など、初心者には難しいことばかりです。その場合は、資金調達や不動産投資に詳しい税理士やコンサルタントなど、信頼できる専門家と相談しながら進めていきましょう。
資金調達を有利にするために法人化を検討しよう
不動産投資を個人で行うのではなく、法人化することによって資金調達の選択肢が広がる場合があります。反面、そうしたメリットだけでなく、デメリットもあります。ここでは、法人化によるメリットとデメリットを紹介します。
【法人化によるメリット】
法人化によるメリットの主なものは、次の4点があります。
融資が受けやすくなる
法人化することで、金融機関は融資先としての安定性を高く評価します。そのため、個人よりも大きな金額や有利な条件での融資が期待できる場合があります。また、複数の金融機関と取引しやすくなり、融資条件も交渉しやすくなります。
損失を長期にわたって繰り越せる
法人では、赤字を最大10年間にわたって繰り越し、将来の黒字と相殺することができるため、損失が発生しても長期的な経営に有利です。
節税対策できる
法人化により、様々な経費を損金に算入できるほか、個人よりも低い法人税率を活用して節税が可能です。
決算月を決められる
法人は自由に決算月を設定できるため、税金の支払い時期を調整することでキャッシュフローを効率よく管理できます。
【法人化によるデメリット】
法人の設立手続きを行わなければならない
個人の場合には不動産経営を始めるにあたっても、税務署に開業届を出すだけですが、法人化には設立手続きや登記などの手間がかかり、そのコストと準備に要する時間を用意しておかなければなりません。
法人の維持費用が発生する
法人の運営には、会計処理や税務申告、法人税の支払いなど、個人に比べて維持費がかかります。
長期保有後に売却した場合の優遇税制が受けられない
個人の場合、5年を超えて不動産を保有した後、売却すると、「長期譲渡所得」として優遇税制を受けることができます。しかし、法人の場合、長期保有後に売却しても、そのような優遇はなく、売却益にかかる税金のほか、法人事業税や法人住民税がかかります。長期物件を保有している場合、売却を考えるならば、法人化しない方が税金を抑えることができる場合もあります。
赤字でも税負担がある
個人の場合は不動産投資が赤字の場合は、住民税の課税はありません。しかし、法人では赤字であっても均等割など一定の税金を支払う必要があり、赤字でも税負担が発生します。
これらのメリットとデメリットは、各ケースによって変動があります。そのため、税理士やコンサルタントに相談しながら、不動産投資の目的や状況に合った最良の形態を選ぶことが重要です。不動産投資における法人化については、以下の記事でも詳しく説明していますので、ぜひ参考にしてください。
まとめ
不動産投資における資金調達は、事業を成功させるための重要な要素です。銀行や不動産会社との関係を活用し、複数の選択肢を比較することで、最適な資金調達方法を見つけましょう。本記事では、不動産投資を検討しておられる方、また、すでに不動産経営を行っておられる方に向けて、資金調達のための5つのポイントについて、あすかタックス&コンサルティングが解説しました。
また、収支計画を練り、法人化を検討することで、さらに有利な条件を引き出すことが可能です。中小企業の経営者にとって、また資産形成を考える方にとって、これらのポイントを押さえておくことが、将来の成長への大きな一歩となるでしょう。
代表 石井 輝光
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