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銀行融資をリスケして資金繰りを改善する正しい方法

カテゴリー: 資金戦略

企業の資金繰りが悪化するには、さまざまな理由があります。予想外の売上不振や取引先の倒産、設備投資から思ったほど増益につながらない、その他にも事故や災害など、ビジネスには想定外の出来事はつきものです。急な資金繰りの悪化で、銀行の返済ができそうにない…という経験は、経営者であれば、1度や2度はあることでしょう。

自力で経営が立て直せれば良いのですが、厳しい資金繰りが従業員の給料や仕入れ先への支払いなどにしわ寄せがいくと、今後の事業継続にも影響してしまいます。

そうなる前に、銀行への返済の延期や、返済条件の変更を依頼するという手段があることを経営者は知っておいてください。本記事ではいざという時のために、「リスケジュール(リスケ)」について、基本的な知識やメリット・デメリット、銀行との交渉を成功に導くポイントを紹介します。

リスケ(リスケジュール)とは

「リスケジュール(リスケ)」とは、銀行融資の返済条件や返済期間の変更を指します。具体的には、「一時的に元金払いを0(または少額)にし、利息のみの支払いとする」「返済期間を延ばし、月々の返済額を少額にする」など、「リスケ」にはさまざまな方法があります。

リスケは事業再建の第一歩

事業再建

企業の資金繰りが悪化した場合、リスケは最初に検討すべき改善策です。経営者が資金繰りに追われていると、自社の業務再建に取り組むことができません。しかし、経営者心理として、銀行融資の打ち切りを恐れ、銀行返済を最優先してしまうという傾向があります。

経営者として事業継続していくための優先順位は次のものです。

  • 1.従業員の雇用を守る
  • 2.取引先・仕入先と安心して取引してもらう
  • 3.税金を支払う
  • 4.銀行の借入金を返済する

このことを踏まえ、事業不振に陥った企業の経営者は、次の順序で再建策を検討しましょう。

  • 1.リスケを実行する
  • 2.経営者が事業改善に注力できる時間を捻出する
  • 3.改善策を実行し、事業を再建する

リスケのメリット・デメリット

リスケは事業再建の第一歩として、不振に陥った企業にとって大きなメリットがありますが、それとともにとデメリットもあります。

リスケのメリット

リスケのメリットとしては、次の2点があります。

資金繰りが改善する

リスケによって中小企業のキャッシュフローは安定し、資金繰りは改善します。例えば、現在、毎月元金100万円と利子の返済を行っている企業が、リスケによって1年間、元金の返済を猶予、利息のみの支払いと取り決めたとします。毎月100万円の返済が猶予されるということは、1,200万円の資金調達を受けたことと同じになるのです。

経営再建のための時間的猶予が得られる

忙しい中小企業の経営者にとって、「時間の猶予」は大きな価値があります。リスケによって資金繰りに一息つければ、経営者はもっと多くの時間を得意先回りや、現場の指導、新サービスの検討や、税理士や会計士、コンサルタントと経営課題の洗い出しや改善策の立案に時間を割くことができます。

リスケのデメリット

リスケのデメリットとして、知っておきたいことは次の点です。

リスケ中は新規融資を受けることがむずかしい

リスケ期間中は、銀行から新規融資を受けることが難しくなります。金融庁は、貸付条件の変更等の履歴があることのみを理由に新規融資を拒絶することがないよう金融機関に対して申し入れています。しかし、金融機関もリスケを行うほどキャッシュフローに問題のある企業に対しては、融資返済のめどが立たないと判断し、原則的には新規融資を許可しないでしょう。そのため、リスケを行う際は、新規融資を受けず手元資金のみで資金繰りをする必要があります。

銀行とのリスケ交渉を成功に導くポイント

銀行との交渉

銀行とのリスケ交渉を成功に導くポイントを3点にまとめました。リスケを検討する上で、ぜひ参考にしてください。

  • リスケの流れを把握する
  • 必要な書類を準備する
  • 信頼できる専門家に相談する

リスケの流れを把握する

リスケの流れを把握し、いつからリスケするかを決定します。

【リスケが正式に決定するまでの流れ】

リスケまでの流れ

リスケを銀行に申し込むと、銀行側は審査を行います。時間はかかっても黒字化が可能で、返済できると判断すれば、企業に無理のないように返済条件を組みなおし、契約書を交わします。そして、新しい契約書に基づいて返済が始まってから、リスケがスタートします。

銀行との交渉期間は一般的に1か月といわれています。最低でも資金がショートする1か月前、可能であれば2か月前から準備を開始しましょう。

必要な書類を準備する

リスケを申し込みする際に、一般的に必要とされる書類は以下の通りです。

  • 経営改善計画書
  • 試算表
  • 資金繰り表
  • 銀行借入明細書

経営改善計画書

金融検査マニュアルによると、経営改善計画書や事業計画書は1年以内に計画書を策定できる会社であればよいとされていますが、申し込みの際に提出することで、以降の交渉がスムーズに進みます。

経営改善計画書に盛り込むべき内容は次の3点です。

①経営不振に陥った原因の説明

なぜ資金繰りが苦しくなったのか、その原因を、長期的原因と短期的・直接的原因に分けて説明します。

【例】
◇長期的原因

  • 大口の取引先A社との関係に依存し、積極的に新規顧客開拓を行おうとしなかった
  • 工場に新規導入した機械の投資額が当初予定した以上に膨らんでしまった
  • 費用の増加分をすべて銀行融資に頼っていた
◇短期的原因

  • A社からの売掛金回収が遅延した
  • 新製品の売上が大幅に予定を下回ったため、支払代金が過剰になった
②経営課題と改善方針

①で明確化された原因から、経営課題を抽出します。さらに、経営課題を外部要因と内部要因に分け、それぞれの経営課題を解決するための具体策を考えます。

【例】
  • 経営者直属の新規開拓専任チームを作り、経営者も含めて新規顧客開拓を行う
  • 不要の残業の廃止などによって社員の時間管理を徹底し、全体で〇%の人件費を抑制する
③数値計画

②の内容に沿って、今後の売上や利益を数値化します。経費削減と売上向上策によって、経営がどれだけ改善するか、具体的な数値で示します。

試算表

試算表とは、一定期間のすべての勘定科目の借方と貸方の金額が記載された書類です。直近の残高試算表を作成することで、決算までの業績や、何が自社に起きているかを示すことができます。

資金繰り表

銀行が最も関心を持っているのが会社の資金繰りです。銀行は次の2点に注目し、資金繰り表を精査します。

  • 現状通り返済を続けると、いつ資金がショートするのか
  • リスケを行うことで、経営が改善するのか

銀行は、リスケ承諾がなければ、数か月後、資金繰りがショートすることがはっきりとわかるとともに、リスケによって事業が立ち直るかどうかを懸念しています。

企業は、リスケ期間中およびリスケを終えてもその後1年程度は銀行からの資金調達が難しいため、借入に頼らず、自力で資金繰りしなければならなくなります。1年のリスケ期間で月商50%以上の資金を手元に確保できることがわかれば、交渉は大きく進展するでしょう。

銀行借入明細書

自社が取引しているすべての銀行の借入明細書を提出します。返済期限や残額、金利などの明細をすべて記載し、提出します。

上記4種の書類一式を提出し、金融審査を受けることになります。

信頼できる専門家に相談する

銀行とのリスケ交渉を成功させるためには、税理士や会計士、経営コンサルタントなど、信頼できる専門家の助けが必要です。特に、以下の点で専門家の協力があると、交渉を有利に進めることができます。

信頼できる専門家

経営改善策の立案

経営改善計画書は、銀行との交渉に臨む際に必須ではなく、1年以内に作成すれば良いとされています。しかし、文書で作成しなくても、銀行との交渉の場では、自社の資金繰りが厳しくなった理由や、どうやって今後改善していくかは、口頭で説明しなければなりません。専門家と相談することによって、自社の課題や改善策をより広い視点から見ることができれば、交渉だけでなく、事業面でも大きなヒントを得ることができるでしょう。

書類作成

銀行との交渉に必要な経営改善計画書や試算表、資金繰り表、銀行借入明細書は、独力で間違いなく作成するには、知識や経験が要求されます。忙しい経営者にとっては書類作成の時間を捻出するのも大変でしょう。専門家の助けを借りてスムーズに進めてください。

適切なタイミング

リスケの申し込みはタイミングが重要です。遅すぎると企業へのダメージが大きくなり、逆に早すぎると銀行からは認めてもらえないかもしれません。専門家のアドバイスを得て、適切な時期にリスケを申し込みましょう。

他の資金調達手段などの提案

リスケ以外にも、企業経営を改善する手段は数多くあります。リスケが本当に自社にとって最適な手段なのか、もっとほかの資金調達手段もあるのかなどを含めて、専門家からのアドバイスを受けましょう。

まとめ 

本記事では、リスケについて、あすかタックス&コンサルティングが解説しました。銀行融資の返済条件や期間の変更を申し込むリスケは、資金繰りに行き詰まった中小企業の強い味方です。リスケが許可されれば、資金繰りが一時的に改善し、経営を立て直す猶予が得られますが、反面、新規融資が得られにくいなどのデメリットもあります。また、本記事ではリスケの流れと必要な書類、交渉を有利に進めるポイントも紹介しました。4種類の書類を用意するのは簡単ではないため、信頼できる専門家の助けを借りながら行ってください。

リスケを行う場合に最も重要なことは、「リスケが一時的な延命策に過ぎない」を忘れないことです。リスケが決まってからが、経営者にとっては本番。「経営再建」の課題に腰を据えて取り組んでください。

あすかタックス&コンサルティングでは、リスケに関する相談、経営再建に関する相談にも対応しています。資金繰りに悩む経営者は、ぜひ無料相談をご利用ください。

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代表 石井 輝光

貴社の社長にも質の高い国の経営改善・M&Aの認定機関として経営改革、資本性ローン等、地主・大家さんのタックス&コンサルティング、顧問等の支援を通してお伝えします。
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