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起業・開業時の融資は新創業融資制度がオススメです
起業や独立開業を考える人が、最初に突き当たる壁は創業資金の調達です。自己資金では足りない分をどうするか? そんな時にはまず新創業融資制度の利用を検討してください。無保証・無担保で融資を受けることができます。
しかし、過去の実績がない起業や新規開業では、しっかりした事業計画書が審査の決め手となります。本記事では新創業融資制度について、理解すべき内容をわかりやすく説明するとともに、審査に通って融資が受けられるように、必要書類についても詳しく解説します。
新創業融資制度とは
新創業融資制度とは、起業や開業を開始する時、また開始直後に必要となる事業資金を必要とする人が利用できる融資制度です。
起業や開業には初期投資が必要です。事業運営に必要な設備や資材、広告宣伝費、人件費などをすべてまかなうには、自己資金だけでは足りないでしょう。そんな時、新創業融資を活用すれば、事業の立ち上げに必要な資金を確保でき、起業や開業の夢が現実のものになります。
では、どんな人であれば新創業資金が利用できるのか、また使い道や限度額、返済、利率について詳しく見ていきましょう。
新創業融資制度を利用できるのは2つの要件を満たしている場合
新創業融資制度は誰もが利用できるわけではありません。利用するには3つの要件をすべて満たしている必要があります。
1. 新たに事業を始めること、または事業開始後税務申告を2期終えていないこと
これから事業を始めるか、税務申告を2期終えていないことが要件となっています。これは、法人であるか、個人事業者であるかによって時期が異なるため、注意してください。
申請が法人:法人設立日から最初の決算日までが第1期、それを終え、その後の1年までが事業開始後2期以内に相当します。
申請者が個人事業者:12月31日が決算日となります。開業日からその年の12月31日までが第1期、翌年12月31日までが事業開始後2期以内に相当します。
2. 自己資金があること
自己資金の要件としては、以下の要件を満たしていなければなりません。
- 事業開始前、または事業開始後税務申告を1期終えていない場合は創業資金総額の1割以上の自己資金を確認できること
この創業資金総額とは、事業のために必要となる設備投資費用や家賃、人件費や仕入れ費用など、経費となるものの総額を指します。規定では1割以上が要件となっていますが、審査を通過するためには3割程度の自己資金が必要といわれています。
ただし、上記要件にはいくつかの例外規定があり、その場合は自己資金の要件を満たしているとみなされます。主なものを以下に挙げます(詳細は日本政策金融公庫の「自己資金の要件を満たすものとする要件」を参考にしてください)。
- 勤務経験が5年以上ある企業と同種の事業を始める場合
- 大学などで習得した技能に関連した職種に継続して2年以上勤務しており、その職種と密接に関連した事業を始める場合
- 認定特例創業支援事業に認定された創業塾や創業セミナーなどの受講者で事業を始める場合
新創業融資制度の資金の使い道
新創業融資制度は、資金の使い道が次の2点に限定されています。
- ①新たな事業を始めるために必要な費用
- ②事業開始後に必要な設備投資や運転資金
融資限度額
融資限度額は2種類あります。
- 設備投資と運転資金で申し込んだ場合…3,000万円
- 運転資金のみで申し込んだ場合…1,500万円
返済期限
新創業融資制度は単体で申し込むのではなく、日本政策金融公庫の他の融資制度の上乗せとして申し込みます。そのため、返済期間はベースとなる融資制度に準じたものになります。
金利
利率は担保の有無や借入期間によって異なり、基準となる利率は期日によって異なります。
- 無担保・無保証人の場合
(令和5年12月1日現在 年利%)
新創業融資制度の必要書類
新創業融資制度に申し込み、確実に審査を通過するためには、まず必要書類をきちんとそろえることが必要です。ここでは新創業融資制度に必要な書類を、「申し込み時」と「面談時」に分けて説明します。
申し込み時に必要な書類
申し込み時には以下の書類の用意が必要です。
- 創業計画書:これから創業する場合や創業直後で決算が終わっていない場合
- 創業計画書の添付書類
- 借入申込書
- 借入申込書の添付書類
創業計画書
創業計画書は、創業融資の審査担当者が最も重視する書類ですので、しっかりと作成することが重要です。日本政策金融公庫のホームページからダウンロードできるほか、全国の政策金融公庫の支店でも入手できます。
創業計画書には、以下のことを記載します。
- 創業の動機
- 経営者の略歴
- 取扱商品・サービス
- 必要な資金と調達方法
- 事業の見通し
- 日本政策金融公庫のホームページには、さまざまな事業の記入例やセルフチェックリストなどが紹介されています。ぜひ参考にしながら作成してください。
創業計画書の添付書類(月別収支計画書)
創業計画書と合わせて月別収支計画書を提出します。月別売上高や売上原価、人件費や家賃などの諸経費、利益などを記入する書類で、資金繰り計画を明らかにします。これも日本政策金融公庫のホームページからダウンロードできます。
借入申込書
借入申込書は言葉通り、新創業融資から借入を申込むための書類です。日本政策金融公庫のホームページからダウンロードし、人名や金額、借入希望日や返済期間、資金使途や連絡先などを記入します。
借入申込書の添付書類
借入申込書の添付書類には、次のものがあります。
- 設備資金の借入を申し込む場合は設備の見積書
- 最近2期分の申告決算書(個人事業主)
- 最近2期分の確定申告書・決算書(法人)
- 決算後6ヵ月以上経過している場合、または事業を始めたばかりで決算を終えていない場合は最近の試算表(法人)
- 企業概要書
- 運転免許証またはパスポートなど顔写真と現住所の記載のある身分証明書
- 履歴事項全部証明書または登記簿謄本(法人)
なお、創業していない場合は申告書や決算書を提出する必要はありません。
面談時に必要な書類
面談時には以下の資料が必要になるため、あらかじめ準備しておきましょう。
新創業融資制度の審査に落ちないために
新創業融資制度は起業や開業を計画している人の強い味方ですが、反面、その審査は決して甘くないといわれています。審査に落ちないためには、以下の点に気をつけましょう。
1. 計画的・合理的な事業計画を用意する
資金調達の目的や使途、将来の事業計画などを明確に記載した事業計画を用意しましょう。審査担当者は、事業が将来的に成功する可能性を評価します。プロの目から見ても無理がなく、成功の可能性が読み取れる計画を作成しましょう。
2. 最低でも創業資金総額の1割以上の自己資金を用意する
審査に合格するためには、自己資金は重要な要件です。そもそも創業資金総額の1割以上を確保しておかなければスタートラインに立つことさえできません。また、実際には自己資金の10倍の資金を借りることができるケースは稀で、2~3倍が一般的だともいわれています。十分な自己資金を用意し、無理のない返済計画を立てましょう。
3. 財務情報を整備しておく
すでに事業を開始している場合は、適切な財務情報を提供することが重要です。財務諸表やキャッシュフロー計画、利益予測などを明確に示し、事業の健全性や成長可能性をアピールしましょう。
4. 自分の信用履歴を確認する
融資申請者の信用履歴は審査に影響します。公共料金や税金の滞納がないか、過去の良好な履歴を示すことが重要です。
5. キャッシュフロー計画をしっかり立てる
新創業融資制度といえども、審査担当者は申請者の返済能力や事業の持続可能性を重視します。無理のない返済計画であることを、財務諸表やキャッシュフロー計画などのエビデンスを元に、具体的に示しましょう。
6. 情報提供は正確に
不正確な情報や書類の不備は審査を遅らせるだけでなく、マイナスの影響を与えます。意図的に情報を隠しているわけではなく、整理不十分によるものであったとしても、事態は変わりません。税理士など専門家の助けを借りながら、申請書や必要書類には正確かつ完全な情報を提供しましょう。
7. 信頼できる専門家のアドバイスを受ける
税理士やコンサルタントなどの専門家に相談し、アドバイスを受けることが重要です。経験がなければ難しい事業計画や申請時の資料作成も、これまでに何度も新創業融資制度の申し込みに関わってきた専門家であれば、有益な手助けをしてくれるでしょう。
まとめ
本記事では、新規創業融資制度とはどのようなものかを説明しました。また、新規創業融資制度を申請する場合に、申し込み時には「創業計画書」と「借入申込書」およびそれぞれの添付資料が必要なこと、さらに面談時にも申込書を具体的に説明するための書類が必要であることも説明しました。
新創業融資制度は無保証・無担保で融資を受けられる、起業や開業を希望する人にとってはありがたい制度ですが、簡単に審査が下りるわけではありません。そのため、審査に落ちないために気を付けるべき点を7点紹介しました。
専門家に相談することによって、審査に通りやすい創業計画書や借入申込書の作成が可能になります。また必要な添付書類なども漏れなく準備することができます。
もし、身近に相談できる専門家がいない場合には、これまでにも経営計画書作成の指導を重ねてきたあすかタックス&コンサルティングにぜひご相談ください。
代表 石井 輝光
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