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大家必見!家賃滞納が発生したときの対処法と法的手続きの流れ

カテゴリー: 不動産投資

「家賃が入金されていない…」。そんなとき、多くの大家さんが真っ先に感じるのは「このまま払ってもらえなかったらどうしよう」という不安ではないでしょうか。大家さんにとっては、家賃滞納はもっともストレスの大きいトラブルのひとつです。

しかし、家賃滞納は適切な手順を踏めば解決できるケースが多く、焦って感情的に対応してしまうと、かえって関係がこじれたり、法的トラブルに発展したりするリスクもあります。本記事では、家賃滞納のよくある原因を理解した上で、初期対応から法的手続き、また未然に防ぐためのポイントもわかりやすく説明します。もしものときの備えとして、ぜひお読みください。

家賃滞納はなぜ起きる?よくある原因と初期対応

家賃滞納が起きた場合、すぐに「悪質な入居者だ!」と判断するのは早計です。初期の滞納には、一時的な事情によるケースも少なくありません。まずは原因を整理し、適切な対応方針を判断しましょう。

【よくある滞納の原因と対処法】

原因 内容 対処法
うっかり・入金忘れ 月末や休日が重なった単純なミス 丁寧な問い合わせ → 支払い意欲を確認
一時的な資金不足 給与の遅れ、急な出費 分割・支払期日の調整なども視野に
継続的な支払い能力の低下 失業・収入低下 継続滞納リスクが高く注意が必要
悪質な滞納 故意に支払わない、連絡無視 迅速に書面・法的措置の検討

管理会社に委託している場合の初期対応

不動産管理会社

物件管理を管理会社に依頼している場合と、依頼していない場合によって、大家さんがすべきことは変わってきます。ここでは、管理会社に委託している場合の大家さんがすべきこと、してはいけないことを説明します。

管理会社に賃貸管理を委託している場合、家賃滞納が発生した際、管理会社が入居者への督促や交渉の窓口となります。大家さんが独断で行動すると、かえってトラブルを招いたり、法的リスクを負ったりする可能性があるため、初期段階では以下の行動に専念しましょう。

  • 家賃が入金されていない旨の連絡を受けたら
    管理会社からの連絡を待つか、管理会社に連絡し、滞納の事実、滞納月数、管理会社がすでに取った初期対応(電話・メールなど)を正確に把握します。
  • 対応の方針を確認する
    続いて、管理会社に家賃保証会社を利用しているかどうかを確認します。家賃保証会社を利用している場合は、以降の入居者との対応は、家賃保証会社が行うことになります。大家さんは管理会社を通じて、誰が(管理会社か保証会社か)、いつから、どのような手段で督促を行うのかの方針を把握します。
  • 連携を依頼する
    入居者への督促を迅速に進めてほしい、と改めて管理会社に要請するとともに、状況を報告してくれるよう依頼します。

【管理会社に委託している場合に、大家さんが絶対してはいけないこと】

管理会社に委託している場合、大家さんが入居者に直接的な働きかけをすることはNGです。主なNG行為を説明します。

  • 直接督促
    大家さんは入居者へ直接電話や訪問、メールなどをして督促してはいけません。管理会社と対応が二重になり混乱を招く恐れがあるからです。また、大家さんによる威圧的な態度と受け取られてしまうと、今後の交渉が難航するリスクがあります。
  • 自力救済行為
    無断で入居者の部屋に入ったり、鍵を勝手に交換したり、荷物を撤去するなどの行為は自力救済行為として、法律で禁止されています。それを破った場合、大家さんの側が住居侵入罪などで訴えられる恐れがあります。
  • 周囲に公表
    玄関やポストに滞納の事実を書いた張り紙をしたり、職場や学校に連絡したりするようなことをしてはいけません。名誉毀損やプライバシー侵害にあたり、法的トラブルの原因となります。

管理会社に委託している場合は、大家さんが前面に出て解決を図るのではなく、入居者との交渉は管理会社に任せます。入居者に希望がある場合も管理会社を通じて伝えるようにしましょう。

家賃滞納時の対応ステップ!電話・書面・内容証明の流れ

管理会社に依頼していない場合、また、家賃保証会社も利用していない場合、入居者との交渉はすべて大家さんが行わなければなりません。ここではその場合の対処方法について、ステップごとに説明します。管理会社に依頼している大家さんも、基本的な流れを把握しておくといいでしょう。

不動産管理会社

ステップ1:電話・メールなどによる柔らかな確認(滞納1週間程度)

初回の滞納時点で強い態度に出るのは逆効果です。まずは確認というスタンスで連絡を入れましょう。

【メールで確認する際の例文】

【件名】〇月分家賃のお支払い状況確認(〇〇号室 〇〇様)

〇〇様

いつもお世話になっております。大家の〇〇です。

本来、〇月分の家賃〇〇円は〇月〇日がお支払期日でしたが、本日時点(〇月〇日)で入金の確認ができておりません。

お手数をおかけいたしますが、お振込み手続きの状況をご確認いただけますでしょうか。

もし、本日中にご入金いただけない場合は、誠に恐れ入りますが、いつまでにお支払いいただけるか、必ずこのメールにご返信ください。

ご連絡をお待ちしております。

なお、すでにお支払いいただいている場合は、本状と行き違いになりましたら、失礼をご容赦ください。ご不明な点がございましたら、下記までご連絡ください。

〇〇(物件名) オーナー 〇〇 〇〇(氏名) 連絡先:xxx-xxxx-xxxx

この段階で、入金予定日と入居者の支払意思を確認します。

ステップ 2 :督促状(2週間前後:再確認)

入金予定日を過ぎても入金がない場合、今度は書面で具体的な期日を伝えて督促します。この場合、期日を明確に提示する(例:「〇日までにご入金ください」)ことと、普通郵便ではなく、記録が残る特定記録郵便、または簡易書留で送付します。

【例文】

家賃支払いに関する督促状

〇〇号室 〇〇様 発行日:令和〇年〇月〇日

拝啓

平素は格別のご高配を賜り厚く御礼申し上げます。さて、〇〇様には、〇月〇日付の連絡にて、〇月分家賃(〇〇円)を〇月〇日までにお支払いいただく旨をご回答いただいておりましたが、本日(〇月〇日)現在も入金の確認ができておりません。

つきましては、下記の通り滞納されている合計金額を、本書面が到着後、〇日以内(例:〇月〇日まで)に必ずお支払いください。

1. 滞納家賃:〇月分 〇〇円
2. 支払期限:令和〇年〇月〇日(厳守)
3. 振込先:〇〇銀行 〇〇支店 (口座番号・名義)

期限までにご入金が確認できない場合、誠に不本意ながら、連帯保証人様への連絡、または法的手段を含む厳正な対応に移行させていただきますことをご了承ください。

なお、お支払いが困難な事情がございましたら、まずはご相談ください。
敬具
〇〇(物件名) オーナー 〇〇 〇〇(氏名) 住所・電話番号

ステップ3:催告書の送付(滞納2か月ごろ)

家賃滞納が通常2か月以上に及び、ステップ2の督促にも応じない場合に送付します。この文書の目的は、契約を解除する最終警告と、後の裁判の証拠とすることです。これは、必ず内容証明郵便で送付し、連帯保証人にも同じ内容の書面を送付します。内容証明郵便は、いつ・誰が・誰に・どんな内容で通知したかを郵便局が証明してくれるため、法的対応に進む際の証拠として非常に重要です。

【例文】

賃貸借契約解除予告・催告書

〇〇様 (連帯保証人様にも同文を送付) 作成日:令和〇年〇月〇日

当事者:貸主 〇〇 〇〇(当方)
借主 〇〇 〇〇(貴殿)
物件:〇〇市〇〇町 〇〇(物件名) 〇〇号室

貴殿との間で締結した上記物件の賃貸借契約に関して、以下の事実につき、本書面をもって最終的な催告をいたします。

1. 滞納の事実
貴殿は、下記記載の家賃合計〇〇円を、支払期日を過ぎてもなお支払わず、その滞納額は〇か月分に及びます。この行為は、賃貸借契約上の重大な違反です。

2. 最終支払い期限
つきましては、本書面到達後、〇日以内(例:令和〇年〇月〇日まで)に、滞納額全額を下記の振込先に支払うよう最終催告いたします。

3. 契約解除の通知
上記期限までに滞納額全額の支払いがない場合、当方は、本書をもって貴殿との間の賃貸借契約を直ちに解除する旨を、ここに予告いたします。契約解除後は、直ちに上記物件を明渡していただきます。

なお、上記期限を過ぎても支払いがない場合は、速やかに建物明渡し訴訟等の法的手段に移行しますので、ご了承ください。

1. 滞納家賃総額:〇〇円(〇月分〜〇月分)
2. 支払期限:令和〇年〇月〇日
3. 振込先:〇〇銀行 〇〇支店 (口座番号・名義)

〇〇(物件名) オーナー 〇〇 〇〇(氏名) 住所・電話番号

特に催告書の段階は、法的手続きの入り口です。管理会社を通さず、大家さん自らが入居者との交渉を行っている場合でも、この段階からは弁護士や司法書士などの専門家や管理会社に正式に回収業務を委託することをお勧めします。

家賃滞納は、大家さんにとって精神的・金銭的に大きな負担となりますが、初期の確認を丁寧かつ迅速に行い、段階を踏んで書面による記録を残していくことが、後の法的対応(専門家への依頼や訴訟)において、大家さんを守るための最も重要な基盤となります。段階的に進めることで、感情ではなく根拠で対応できます。専門家の助けを借りながら、一歩ずつ進めていきましょう。

それでも支払いがない場合の法的手続き

法的手続き

内容証明郵便を送っても支払いが行われない場合、入居者が支払意思を示さない、支払能力がない、または悪質であると判断されます。この段階では、法的手続きを検討する必要があります。

ステップ1:弁護士または専門家へ相談

法的手続きというと、そこまで必要になるのだろうか……と不安になってしまう大家さんもいるかもしれません。そんな時、法的手続きを進める前に、まずは弁護士などの専門家に相談しましょう。専門家から、適切な方法や、費用対効果、回収見込みなどのアドバイスを受けることができます。

ここからは、「支払督促」と「訴訟・明渡し請求」の2つの流れがあり、状況に応じて手続きが異なります。

ステップ2-A:支払督促(裁判所への申立てによる簡易な請求方法)

支払督促は、裁判所から正式に支払いを求める通知を送ってもらう手続きです。訴訟より簡易で費用も抑えられます。入居者が異議を申し立てなければ、そのまま強制執行へ進めます。支払督促は、スムーズに進めば比較的短期間で滞納した家賃の回収が可能です。ただし、ここで入居者が異議申し立てを行うと、通常の訴訟に移行します。

ステップ2-B: 訴訟による明渡し請求(退去と支払いを求める)

支払督促で入居者から異議申し立てがあった場合、または、滞納した家賃の回収だけでなく、入居者の退去も求める場合は訴訟(裁判)で請求することになります。訴訟では滞納額の支払いだけでなく、賃貸借契約の解除と明渡し(退去)を同時に求めることができます。一般的には3か月以上の滞納が信頼関係の破壊と判断され、契約解除が認められるケースが多いとされています。

ステップ3:判決確定後、強制執行(明渡し・財産差押え)

裁判で勝訴しても、入居者が任意退去しない場合は強制執行の申立てを行います。強制執行には、執行官立ち会いのもと、入居者を退去させる家財撤去(明渡し執行)や、給与差押え(勤務先に通知して回収)、預金差押え(金融機関の口座から回収)などがあります。

法的手続きは時間・費用・精神的負担も伴います。そのため、回収見込みの判断や賃貸契約解除のタイミング、適切な手続き選択など早めに専門家に相談することで、安心して進めることができます。


家賃滞納を未然に防ぐためのポイント

家賃滞納

家賃滞納は、発生してから対応するよりも、起きない仕組みを作ることが何より大切です。日ごろの工夫や契約段階の見直しで、トラブルを大幅に減らすことができます。そのためのポイントを以下で紹介します。

  • 入居審査を丁寧に行う
    家賃滞納を防ぐ第一歩は、支払い能力と信用のある入居者を選ぶことです。家賃保証会社の利用を前提にすることで、万が一の滞納時にも家賃が立て替えられるため、大家さんのリスクを減らせます。
  • 契約書に「滞納時の対応」を明記しておく
    トラブルを防ぐためには、「滞納が起きたときにどう対応するか」を事前にルール化しておくことが大切です。入居時の契約書に、支払い期限と遅延損害金や、滞納が〇か月続いた場合の契約解除条項などを記載しておきましょう。ルールを文書で明確にしておくことで、言った・言わないのトラブルを防げます。
  • 家賃の自動引き落としを導入する
    「入金忘れ」による滞納は意外と多く見られます。その防止には、口座振替やクレジット決済による自動引き落としが効果的です。入居者にとっても「毎月振り込みに行く手間がない」ため、双方にメリットがあります。
  • 日ごろのコミュニケーションを大切にする
    入居者との関係が良好だと、トラブルが起きたときにも早期に相談してもらえる傾向があります。定期的な挨拶や点検時のちょっとした声かけが、信頼関係の積み重ねになります。
  • 管理会社や専門家との連携を強化する
    一人で対応しようとすると、精神的な負担が大きくなりがちです。特に複数物件を所有している場合や遠方管理の場合は、管理会社や専門家と連携する仕組みを整えておくと安心です。

まとめ

本記事では、大家さんに向けて、家賃滞納が発生したときの対処法と法的手続きを、あすかタックス&コンサルティングが解説しました。

家賃滞納は、大家さんにとって大きな不安材料ですが、原因を理解し、適切なステップで対応すれば、冷静に解決へ進めることができます。また、管理業務を管理会社に委託している場合や、家賃保証会社を利用している場合は、大家さん自身が入居者との交渉を行うことはありません。そうであっても、家賃滞納トラブルの解決の流れを把握していると、管理会社との連携もスムーズに進むでしょう。

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代表 石井 輝光

貴社の社長にも質の高い国の経営改善・M&Aの認定機関として経営改革、資本性ローン等、地主・大家さんのタックス&コンサルティング、顧問等の支援を通してお伝えします。
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