「永遠の繁栄へと導く経営革新ブログ」

不動産オーナーの出口戦略。売却?相続?法人内継続?

カテゴリー: 不動産投資

不動産投資を成功させ、安定的な家賃収入を得てきた不動産オーナーであれば、いつか必ず、将来を見据えた大切な決断に直面します。それが、今、ご自身が保有する不動産を、どう「卒業」させるかという「出口戦略」です。不動産の売却、家族への相続、法人での継続保有。それぞれの道には、メリットとデメリットがあり、選ぶ道によって、手元に残る資産や将来の展望は大きく変わります。

本記事では、不動産オーナーが知っておくべき3つの出口戦略について、その特徴や注意点をわかりやすく解説します。ご自身の状況に最適な選択肢を見つけるためのヒントとして、ぜひ参考にしてください。

不動産オーナーにとっての「出口戦略」とは?

不動産出口戦略

「出口戦略」とは、不動産投資の最終段階において、保有している不動産資産をどのように処理するかの計画です。

単に不動産を売ったり、誰かに譲ったりするだけではありません。これまでの投資で得た収益を最大限に活かし、ご自身の人生計画や、ご家族の将来、さらには税負担までを考慮した総合的なプランニングが求められます。

主要な出口戦略として、以下の3つの選択肢が考えられるでしょう。

  • 売却:現金化して、新たな投資や生活資金に充てる
  • 相続:次世代に資産を承継し、家族の未来を守る
  • 法人内での継続保有:法人を使って不動産を保有し続け、事業を継続・拡大する

どの道を選ぶかは、不動産の築年数、収益性、そして何よりオーナーご自身の年齢や目的によって異なります。また、どの選択肢にも税金のルールがあり、また資産形成や家族への影響も異なります。

今はまだ先の話と思っていても、準備をしていないと想定外の税負担や家族間のトラブルを招くこともあります。最適な出口戦略を立てるためには、それぞれの選択肢の特性を深く理解しておくことが重要です。

出口戦略1. 売却という選択肢のメリット・デメリット

不動産メリット・デメリット

不動産投資の最もシンプルで、かつ一般的な出口戦略が「売却」です。物件を現金化することで、次のステップに進むための資金を得ることができます。

不動産売却のメリット

不動産売却によるメリットは、以下の3つです。

利益を現金化できる

現金は自由度の高い資産です。売却代金を元に、新たな不動産に再投資することもできますし、株式などの金融商品への投資も可能です。あるいは起業などの事業資金、老後の生活資金…など、自由に使うことができます。

管理業務から解放される

賃貸管理や修繕、委託先との折衝など、不動産の管理業務は、何かと手間のかかるものです。不動産を売却すると、そうした業務から完全に解放されます。

タイミングによっては大きな利益を得ることができる

市場価格が高いタイミングで売却できれば、大きな利益を確保できます。一方、市場が低迷している時期でも、適切な価格設定と販売戦略により、損失を最小限に抑えることが重要です。

不動産売却のデメリット

不動産売却には次のようなデメリットもあるため、売却を検討する際は、リスクを回避する手段を考えておかなければなりません。

譲渡所得税が発生する

売却益(譲渡所得)が発生した場合、所有期間に応じて、所得税・住民税が課税されます。特に、5年以下の短期保有の場合、税率が39%(5年を超える保有であれば20%)になるため、注意が必要です。

タイミングを見極めるのが難しい

不動産市場の動向によっては、想定した価格で売却できない場合もあります。また、保有していれば、将来的に価格がさらに上昇する可能性があるかもしれません。不動産売却のタイミングは難しく、専門家のアドバイスが不可欠です。

売却までに時間やコストがかかる

不動産を売却するまでには、さまざまなプロセスを経なければなりません。すぐに買手が見つからなかったり、建物の改築や改修が必要になったり、更地にする場合もあります。仲介手数料や測量、リフォームなど、時間とコストがかかります。

出口戦略2. 相続で次世代に資産を承継する場合のポイント

不動産相続のポイント

不動産は、現金や預金とは異なり、評価額が大きくなりがちな資産です。そのため、次の世代に円滑に引き継ぐためには、相続対策が欠かせません。

資産の次世代承継のメリット

次世代に不動産資産を承継するメリットの主なものを以下に紹介します。

資産を有効活用できる

賃貸物件として次世代が引き続き運用することで、家族は安定した家賃収入を得ることができます。また、不動産を「現物資産」として残せるため、インフレへの耐性が現金を残すよりも高いと考えられます。

相続税評価額を圧縮できる

現金で相続するよりも、不動産として相続する方が相続税評価額が低くなるケースが多いため、節税効果が期待できます。

資産の次世代承継によるデメリット

一方、次世代承継を行うためには、不動産特有の難しさも見ておかなければなりません。

相続人が負担になる場合がある

不動産の維持管理や賃貸経営といった業務が、相続人に引き継がれます。相続人が不動産経営に詳しくない場合、大きな負担となる可能性があります。

相続税が発生する

相続税対策を早めにやっておかないと、高額な相続税が発生し、納税資金の確保に苦労し、結局そのために不動産資産を手放す場合があります。

遺産分割の難しさ

不動産は分割しにくいため、複数の相続人がいる場合、遺産分割でもめるリスクがあります。相続をスムーズに行うためには、事前に専門家と相談し、生前贈与や法人化、遺言書の作成など、計画的な対策を立てておくことが不可欠です。

相続を考えるなら、遺言書・生前贈与・法人化などを組み合わせた具体的な対策が不可欠です。

出口戦略3. 法人内での継続保有・運用という選択肢

個人で保有している不動産を、設立した法人に売却、もしくは現物出資して、そのまま運用を続けるという選択肢もあります。

不動産節税対策

法人として継続保有する場合のメリット

法人として継続保有する場合、主に3つのメリットがあります。

相続税対策になる

法人化することで、将来の相続時には、不動産そのものではなく、法人の株式を相続することになります。これにより、相続税評価額を抑えることができ、納税資金を確保しやすくなります。

所得の分散による節税

法人として不動産を保有することで、所得を役員報酬や退職金として分散でき、所得税・住民税の負担を軽減できる可能性があります。

損益通算の柔軟性

法人内で事業を行っている場合、不動産事業の赤字と他の事業の黒字を損益通算できるため、税務上のメリットが大きくなります。

法人として継続保有する場合のデメリット

法人として不動産を運用する場合の主なデメリットを以下に説明します。

法人設立・運営には手間と費用がかかる

法人の設立には登記費用などがかかり、その後も法人の運営や税務申告などの手間が発生します。また、個人に比べて法人は手続きが煩雑で、専門的な知識が必要です。

不動産取得税・登録免許税が発生する

個人から法人へ不動産を移転する際に、不動産取得税や登録免許税が発生します。

個人の借入金の一括返済リスク

個人名義で不動産ローンを組んでいる場合、法人へ名義変更する際にローンの一括返済を求められる可能性があります。

法人での継続保有は、複数の不動産を保有しているオーナーや、事業規模を拡大したいオーナーにとって、非常に有効な選択肢となります。

3つの出口戦略を比較!判断の軸と優先順位

ここまで3つの出口戦略を見てきましたが、どの選択肢が最適かは、個人の状況や目的に大きく左右されます。

選択肢 こんな人におすすめ 判断の軸
売却
  • 手元にまとまった資金が欲しい人
  • 不動産経営から完全にリタイアしたい人
  • 「現金化」が最優先。その後の人生プランをどうするか、専門家と相談して検討を。
相続
  • 不動産を家族に引き継ぎたい人
  • 将来の相続税対策をしたい人
  • 「家族への資産承継」が最優先。相続人がいるか、また相続人が不動産経営を望んでいるかを確認。
法人での継続
  • 複数の不動産を保有している人
  • 不動産事業の規模を拡大したい人
  • 「事業の安定化・拡大」が最優先。不動産経営をビジネスとして捉え、税負担の軽減を目指す。

まとめ

本記事では、不動産オーナーの出口戦略について、あすかタックス&コンサルティングが解説しました。

不動産オーナーにとっての「出口戦略」は、単なる物件の処分ではありません。これまでの投資の集大成であり、これからの人生を左右する重要な決断です。最適な出口戦略を立てるためには、ご自身の人生設計や、不動産の状況、そして税務上のメリット・デメリットを総合的に判断する必要があります。しかし、専門知識を必要とする部分も多く、一人で決断するのは難しいかもしれません。

あすかタックス&コンサルティングでは、不動産オーナーの皆様の状況に合わせて、最適な出口戦略の策定をサポートしています。不動産売却、相続、法人化など、あらゆる選択肢について、専門家が丁寧にご相談に応じます。

「自分の場合はどうすればいいのだろう?」と感じた方は、まずはお気軽にご相談ください。資産と未来を守るための第一歩を、あすかタックス&コンサルティングと一緒に踏み出しましょう。

The following two tabs change content below.

代表 石井 輝光

貴社の社長にも質の高い国の経営改善・M&Aの認定機関として経営改革、資本性ローン等、地主・大家さんのタックス&コンサルティング、顧問等の支援を通してお伝えします。
お気軽に
ご相談ください
  • 意味のある優良企業化計画書を作りたい
  • 銀行から資金調達したい
  • 資本性ローンの申込を手伝ってほしい