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経営計画書:融資・補助金申請で慌てないために知っておきたいこと

カテゴリー: 経営・コンサルティング

銀行からの融資を考えるとき、政府や地方公共団体に補助金を申請する時、経営計画書が必要になります。慌ててでっち上げた経営計画書は、担当者を前にして恥をかくだけではありません。融資や補助金申請が通るかどうかを直接的に左右することになります。

いざという時、慌てないために、評価につながる経営計画書を作成しましょう。本記事では、資金調達につながる経営計画書について説明します。

経営計画書とは

経営計画書は会社の理念を明確にし、その理念を実現するために作成するものです。

経営計画書で何がわかるのか?

経営計画書には決まった形式はありませんが、一般的に経営計画書には次のような内容で作成します。

経営理念・ビジョン

  • (ア) 経営理念:企業が何を目指し、何を達成しようとしているかを明確にしたもの
  • (イ) 経営ビジョン:会社が将来的に「こうありたい姿」を明確にしたもの

経営目標

  • (ア) 外部環境分析:事業を取り巻く政治、経済、社会、技術の4つの要因を分析
  • (イ) 内部環境分析:自社の強み、弱み、機会、脅威の4つの要因を分析
  • (ウ) 中期目標:自社が3年程度の期間で達成すべき目標

経営方針

  • (ア) ヒト:経営目標を達成するために、経営資源のうちの人材についての方針
  • (イ) モノ:自社で扱う製品や設備についての方針
  • (ウ) カネ:運転資金や設備資金、研究開発資金などについての方針
  • (エ) 情報:会社が保有する情報の管理・運用方針

利益計画

  • (ア) 目標利益計画:ベースとなる会社全体の数値目標づくり
  • (イ) 月別目標利益計画:初年度の月別目標利益計画を作成

主要施策・行動計画

  • (ア) 主要施策:目標利益計画を達成するための全体や各部署の施策
  • (イ) 行動計画:主要施策を達成するための具体的な行動

上記の要素を備えた経営計画書で、次のことがわかります。

  • 1. その会社が何を理念とし、何を成し遂げようとしているのか?
  • 2. その理念を実現させるために、何を目標としているのか?
  • 3. その目標の下、具体的にどんな方針を立てているのか?
  • 4. その方針を実行するための財務状況はどのようになっているか?
  • 5. どのような行動計画を立て、実際に何を実行しているのか?

5つの要素が盛り込まれている経営計画書を見れば、その会社が理想と目的をもって経営されているかどうか、同時にその理想が絵空事ではなく、財務の裏付けを持って、具体的に実践されているかどうかがわかります。

各項目についての詳しい説明、および作成方法は、以下の記事に記載していますので、ぜひ参考にしてください。

>> 儲けたい社長のための経営計画書の作り方&テンプレート

経営計画書が必要になる4つのケース

経営計画書が必要になるケース

中小企業の中には経営計画書のない会社も多くあります。しかし、経営計画書が必要になる場合があります。それは、以下の4つのケースです。

資金調達を行う場合

運転資金の不足や設備投資の必要などから資金調達を行う場合は、決算書と経営計画書を提出する必要があります。融資する金融機関は、経営計画書を見て事業の評価やリスクの把握を行います。

新規事業の立ち上げや既存事業の拡大を行う場合

新規事業の立ち上げや既存事業の拡大を行う場合には、経営計画書が不可欠です。事業の目標や方針、利益計画などを明確にし、実行計画を策定するために経営計画書が活用されます。

事業の再構築や組織改革を行う場合

会社が新分野で展開したり、事業や業種を転換する場合、経営計画書が重要な役割を果たします。目標の設定や経営方針の再構築、社内リソースの再配置などを、経営計画書作成を通して明確にします。

業務提携や資本提携を検討する場合

業務提携や資本提携を検討する際には、相手先に対して自社を説明したり、交渉するために、経営計画書が必要になります。自社の経営理念やビジョン、経営目標や経営方針、実行計画を示し、相手先からの理解を図り、信頼関係を構築するために活用されます。

以下、1点目の資金調達を行う場合に必要になる経営計画書について、「融資」と「補助金」に分けて詳しく説明します。

経営計画書:融資を申し込む場合

融資を申し込む際は、決算書だけでなく、経営計画書も一緒に提出します。経営計画書が評価される理由と、金融機関は経営計画書のどこを見るのかを整理しましょう。

金融機関

経営計画書で金融機関から評価されるのはなぜか?

金融機関は会社を格付けすることで融資を決めています。格付けの根拠となるのは決算書です。しかし、単に黒字決算というだけでは高い格付けの十分な条件ではありません。収益性以外にも会社の評価の対象となるポイントがあります。

経営計画書を持つ会社は金融機関にとって信頼性が高いパートナーとなります。金融機関が経営計画書を持つ会社を評価するのは、次の3点の理由からです。

金融機関は計画性のある会社を信頼する

経営計画のない会社では、会社が何を目標にし、どの方向に向かっているのかわかりません。目標を掲げ、方向性を明確にした経営計画書があれば、金融機関はその計画書を見て、会社の将来を思い描くことができ、信用することができます。

経営計画書によってリスクの評価と管理ができる

融機関は融資を検討する際に、貸し倒れのリスクを最小限に抑えることを重視します。そのため、融資先の経営状況のリスクを評価し、管理する必要があります。経営計画書には、外部環境の分析や自社の強みなどを踏まえた上での経営方針、行動計画などが記載されています。これにより金融機関は、リスクの有無や事業の安定性を評価し、融資の可否や条件を判断することができます。

返済能力の評価

金融機関が融資を行う際には、返済能力の評価が重要です。経営計画書に含まれている利益計画と実績をもとに、金融機関は返済能力を判断することができます。経営計画書が十分に具体的で現実的な内容であるほど、金融機関は返済能力を高く評価する傾向があります。

経営計画書 金融機関はどこを見ている?

金融機関が経営計画書で重視するポイントは、次の4点です。

経営計画書

経営理念を通して社長の思いが伝わるか?

経営理念は、創業者や社長の「思い」が言語化されたものです。創業者や社長は何を思って会社を起こしたのか、どのような会社にしたいという理想があるのか、会社の基本となる考え方が熱意をもって記載されているかどうかを確認します。また、経営理念を通して、社長のビジョンやリーダーシップが経営計画書の実行にどのように寄与するかも考慮されます。

利益計画の数字に根拠があるか?

金融機関は利益計画の数字を注視します。目標利益計画に出された数字は根拠があるもので、現実的に達成可能かどうかを、過去の実績と照らし合わせながら評価します。金融機関の評価は、正確であるかどうか、根拠があるか、合理的な内容であり、返済能力や収益性の見通しが明確であるかがポイントです。

リスク管理・リスク対策はなされているか?

金融機関は、会社がリスクを把握し、対策しているかどうかに注目します。外部環境分析として、「政治」「経済」「社会」「技術」面でのリスクと自社に与える脅威が把握されているか、さまざまなリスクへの対策はなされているかを評価します。

会社には競争力があるか?

経営計画書には、自社の強みや競争力についての分析も含まれるべきです。金融機関は、事業の競争力や製品が市場の中でどのようなポジションにあるかを確認し、競争力の維持・拡大に向けた施策や行動計画が示されているかを評価します。

上記の点を総合的に判断し、格付けを意識した経営計画書を作成し、月次決算書によって金融機関に実績の裏付けを証明することで、金融機関からの信頼度を上げることができます。

経営計画書:補助金を申請する場合

政府や地方公共団体に補助金を申請する場合は、補助金によって公募要領や書式が違うために注意が必要です。項目に合わせて経営計画書の内容を記載しましょう。

経営計画書 補助金申請で審査のポイント

補助金の種類や申請先の政府機関や地方公共団体によって、審査ポイントは異なります。しかし、一般的には以下3点の要素が重視されます。

目的が明確であること

経営計画書には、補助金を活用することで達成したい目標と、具体的な行動計画が記載されていることが重要です。また、計画の内容とともに実現に向けたスケジュールや、リソースの配分が明確であれば評価されます。

利益計画が現実的であること

経営計画書に盛り込まれている利益計画が現実的かどうかも評価の大きなポイントです。補助金を利用することで予定される収入や支出、資金使途などが明示されていること、また、予測される効果や収益性、事業の持続可能性も考慮されます。

社会的・経済的な効果

政府機関や地方公共団体の補助金では、補助金を活用して社会的・経済的な効果をもたらすことが期待されます。経営計画書には、補助金を利用してどのような社会的・経済的な影響や効果を生み出すのかを記載しましょう。地域への貢献や雇用創出、環境への配慮など、補助金の目的と一致する効果が評価されます。

プロによる経営計画書作成

経営計画書作成はプロの手を借りることも必要

これまで見てきたように、金融機関から融資を受けたり、政府や地方公共団体に補助金を申請することを考えた場合、経営計画書が必要不可欠です。会社の目的や方針、行動計画や利益計画などの重要な情報がまとめられた資料である経営計画書は、金融機関や担当機関が会社の評価を行う上で欠かせないものです。

しかし、これまで経営計画書がなかった会社にとって、作成のハードルは高いものです。特に、経営計画書の大きな柱である利益計画書づくりには、税理士や会計士のアドバイスは欠かせないでしょう。

融資や補助金申請に評価される経営計画書を、いざという時に慌てないために、プロの手を借りながら作成しましょう。

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代表 石井 輝光

貴社の社長にも質の高い国の経営改善・M&Aの認定機関として経営改革、資本性ローン等、地主・大家さんのタックス&コンサルティング、顧問等の支援を通してお伝えします。
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